トレンドに乗るのは簡単
最近、食品スーパーの飲食コーナーなどに1杯抽出型のコーヒーマシンを設置する企業が増えている。
これが思いがけなく、ヒットしており、取材したある企業では、1日当たり50~80杯程度が売れているのだという。
その手法は、多くのコンビニエンスストアとまったく同じ。専用カップを販売し、あとは、お客のセルフサービスに任せるというものだ。
ただ、この企業の導入責任者は、「はじめは懐疑的だった」と振り返った。
「これまでの慣習からみて、自店のお客さまがカップを購入して自分でコーヒーを淹れる姿を想像できなかったから」だそうだ。
だが、案ずるより産むがやすし。実際に導入してみると、ほとんどのお客は戸惑うことなく、自分でコーヒーを淹れ、飲んでいた。
お客は、コンビニエンスストアで学習済みだったのだ。
話を聞いて、ある大手製造業のトップが「トレンドをつくるのはお金がかかって、大変だけど、トレンドに乗ることは簡単。だから、当社はもっぱらそっちに力を入れている」と話していたのを思い出した。
この言葉を1杯抽出型コーヒーのケースにかぶせてみると…。
トレンドは、すでにコンビニエンスストアがつくっている。だから、後発企業は、それに乗ればいいということになる。
そして、他業態からの市場侵食にダメージを受けている食品スーパーにとって、そんなトレンドというのは案外多いような気がする。
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