清水信次チェーンストア協会会長 消費税増税異論なし
日本チェーンストア協会(東京都)の清水信次会長が同協会通常総会後に記者会見を開いた(5月17日@ホテルニューオータニ)。清水会長は席上、2014年4月に実施される予定の消費税増税についての考え方を改めて披露した。(談:文責・千田直哉)
「日本人は、物質的には世界一豊かで快適な生活をしている。冷暖房完備、水洗トイレ、風呂付…こんなことは僕が生まれた大正時代にはとても考えられなかった。現在は平和で豊かな国民生活が続いて、それに慣れて多少タガが緩んでいる状態にある。また、日本は世界最高の長寿国である。これも僕たちが若い頃は《人生50年》だったものが、30数年も延長した。しかも、高齢者医療を始めとする社会保障制度も世界では類のないくらいに厚いと思う」
「消費税について言うと、世界193カ国中で導入しているには147カ国。その中で最低の税率は5%で日本を含めて4カ国ある。次が7%で2カ国。その上は10%で13カ国。あとはみな15~27%の間だ。世界最高水準の国民生活を満喫し、しかも高福祉国家で、税金だけは最低の5%というのでは、国は持たない。だから、僕は消費税税率を10%にすることには異論ない。戦前の日本では、国民が税金を払うことは明るいことであり、誇りを持つことだった。増税のタイミングは政府が経済状況を勘案しながら判断した結果だから仕方ない。ただ唯一思うのは、流通業界にとって2段階を経る引き上げはコストプッシュ要因になる。増税時期を1年半遅らせ、2015年10月に一気に10%に上げて欲しかったということだ」
「消費税増税還元セール禁止の特別措置法案が衆議院を通過したが、そんなのは僕に言わせれば技術論でしかなく、枝葉末節のことでしかない。何も、細かく法律でがんじがらめにしなくても良いのではと思う。小売業界にしても、大企業と中小企業と零細企業では考え方も主張も異なる。だから、ある程度の幅を持たせて、後は各企業の良識に任せることが大事だ。誰もが譲り合って、『この辺りよかろう』という妥協点をつくりあげたらどうかと思う。戦前の日本のように、みんなでかばい合い、いたわりあい、思いやっていく必要がある」
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