コンビニエンスストア3社の宅配マーケティング&イノベーション

2013/01/17 00:00
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 コンビニニエンスストア(CVS)各社の宅配サービスが本格化している。

 口火を切ったのは、セブン‐イレブン・ジャパン(東京都/井阪隆一社長)だ。同社と「お食事お届けサービス」を企画運営するセブン・ミールサービス(東京都/青山誠一社長)は、2012年5月7日から全国1万店舗のセブン‐イレブンでCVSとしては初めての「配達サービス」を全国に拡大した。

 従来は、「1000円以上の注文から、配達料200円」だったものを「500円以上の注文で配達料無料(500円未満は120円)」としている。

 高齢社会進行や単身世帯の増加、女性の社会進出といった社会情勢の変化に対応すべく、栄養管理士の監修した商品を「1日分より」「年中無休で」「注文の翌日に」提供するサービスだ。

 たとえば、「日替り弁当」なら、1日ごとの注文500円、7日間セットで3500円。塩分を2.8g以下に抑え、ご飯の量も190g、240gから選べるという気の配り用だ。「惣菜セット」の価格も同じ。主菜と副菜のおかずをセットしたもので平均330kcalとヘルシーな仕上げになっている。

 また、出来合いの弁当や惣菜ではなく、自分でひと手間かけたい人には、かんたんクッキング「食材セット」(関東地区限定)を用意。1日当たり1人前は550円、2人前を7000円として、7日間セットは各7倍の値段だ。

 さらには、セブン‐イレブンで扱っている「おにぎり・弁当・麺」「惣菜」、生鮮食品を含む「野菜・果物・肉・魚介」「水物・玉子・漬物」、プライベートブランドの「セブンプレミアム」「セブンゴールド」、はたまた「牛乳・乳飲料・乳製品」「米・パン・加工食品」「デザート」「飲料」「菓子」「酒類」、ティッシュなどの「日用雑貨」に至るまで、一緒に配達してもらえる。

 社会・生活インフラ企業を標榜するファミリーマート(東京都/中山勇社長)も負けていない。

 子会社のシニアライフクリエイト(東京都/高橋洋社長)が展開する「宅配クック ワン・ツゥ・スリー」(以下:宅配クック123)の配送網を活用した宅配事業を2012年12月12日から鹿児島県鹿児島市を皮切りにスタート。年内に東京都豊島区・文京区、愛知県岡崎市、兵庫県神戸市、岡山県岡山市の全国5つの地域に拡大した。

 「宅配クック123」の利用者がカタログに掲載されたファミリーマート商品を、弁当と一緒に注文できるというもの。送料は無料で、前日18時までに注文すると、翌日に「宅配クック123」の弁当と一緒に配達される(昼と夕の1日2回)。

 ファミリーマートの商品は、「食べやすさや栄養バランスを考慮した食品」や「高齢者からお買い物を依頼されることが多い日用品」などをもとに厳選した45種類。商品は消費者の要望を聞きながら随時拡大・変更する。

 

 そしてオーラスはローソン(東京都/新浪剛史社長)だ。

 同社とヤフー(東京都/宮坂学社長)は、合弁事業会社のスマートキッチン(東京都/加茂正治社長)を設立。定期宅配サービスを今日から開始する。

 コンセプトは「忙しいママ・働くママを応援するホームコンビニエンス」。その特徴は、①食品8800品目、非食品・日用品1万4200品目で合計2万3000品目(2013年3月時点)の豊富な品揃え、②毎週、指定の時間帯に自宅まで配達、③家事の時間を短縮(悩まない献立~かんたんな買物~10分で本格手料理)というものだ。

 スマートフォン、タブレット端末、パソコンからスマートキッチンのサイトにアクセスすると、献立を選ぶだけで必要な食材の一覧が表示され注文リストに簡単に追加できるサービスや毎週買うものをあらかじめ登録しておけるサービスを受けることができる。また、業務資本提携している、らでぃっしゅぼーや(東京都/緒方大介社長)の取り扱い商品を購入することも可能になる。

 さらに、忙しいママ・働くママの家事の時間を大幅に短縮する「10分本格手料理キット」も提供する。

 関東地方と山梨県内の配送料は無料。当面は、神奈川県座間市内の物流センターから既存の宅配業者を使って配送するが、将来的には自社物流に切り替えたい意向。また店舗からの宅配も視野に入れている。

 なお、今後、スマートキッチンは3段階に分けてサービスを開始。1月17日からは、会員登録、「おためしセット」3種類の販売を開始。2月1日からは定期宅配サービス受付開始(商品数1万1000品目)。3月中旬から商品数を拡充(商品数2万3000品目)する。「2013年には登録会員数10万人。2015年には70万人を目指し、年間売上高1000億円を達成したい」と加茂社長は強い意欲を覗かせている。

 

 さて、《社会問題は新しい需要の宝庫である》は、私の持論のひとつだが、CVS3社は、「シニア」や「働く女性」への対応をマーケティングとイノベーションを駆使しながら、何にも先んじて行おうとしている。

 食品スーパーやGMS(総合スーパー)は、こうした動きにどう対応するのか?負けてはいられない。
 

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