面接の極意
人材の採用は、とても難しいものだ。
学校を卒業してすぐに試験官の仕事をしていたことがあった。しかし、いかんせん人生のキャリアを積んでいない青二才。「ありがとう」と配属先に感謝されるような人材を採用できたためしがなかった。
その中で、自分なりに下した結論は、「結局、人材は入社させてみなければわからない」という博奕打ち的な考えだった。
そんな私を見ていてくれた当時の上司は、「『入社させてみなければわからない』というキミの考え方は多分間違っていない」と肯定した上で、だからこそ、「夕飯を食べにおいで、と自宅に招くことができるかどうかという視点で判断してみたらどうか」とヒントをくれた。
それ以降もずいぶん失敗を繰り返したものだが、キャリアや知識の豊富さ、受け答えの巧拙よりも、人柄重視の採用基準に切り替えたことによって、不思議と後悔することはなくなった。
先日紹介した『ウォルマートの成功哲学 企業カルチャーの力』(ドン・ソーダクィスト著)にも、ウォルマートの創業者の故サム・ウォルトンは「候補者の学歴を確認するより前に、まずその人の笑顔をよく観察していた」とあり、面接の極意の一端を垣間見たような気になった。
チームワークというものが信頼の上に成り立つとするならば、こうした基準の設定は当たり前、ということが今ならわかる。
どんなに優秀だとしても、山登りをする際にザイルを結びたくないような受験者を採用することはできないからだ。
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