アークスの“アキレス腱”
4月16日、16時30分。アーバンネット大手町ビル(東京都)21階会議室において、アークス(北海道/横山清社長)とジョイス(岩手県/小苅米秀樹社長)の経営統合記者会見が開かれた。
雛壇に上ったのは、正面に向かって左に横山清社長(76)、右に小苅米秀樹社長(49)の2人のみ。その他、記者席の最前列に陣取っていたのは、アークス代表取締役会長兼ユニバース(青森県)社長の三浦紘一氏(72)とアークス代表取締役副会長兼福原(北海道)社長の福原朋治氏(76)の2人だ。
記者会見は、終始緊張した雰囲気の中で進められていった。
その中で、私がもっとも注目したのは、発表内容に加え、横山社長の気遣いだ。
記者の質問に私見を述べるに際しては、「三浦さんとは意見が異なるかもしれないが…三浦さんごめんね」と壇上から一言、記者席に座る三浦会長に声掛けしてから、回答を始める。
同じように、福原氏の名前も、会見中随所に飛び出し、創業者でありアークスの代表権を持つ2人への尋常とは言えない配慮を見せ続けた。
「八ヶ岳連峰経営」を標榜し、うまく機能させているアークスの裏側には、横山社長の細心の気遣いがあるものと見受けられた。
そして、こうした様子を見せつけられるにつけ思うのは、アークスの要は、やっぱり横山社長、ということだ。
気難しいとされる創業経営者を口説き、仲間を増やし、アークスを年商4600億円規模の小売業に導くという大仕事は、実は横山社長にしかできなかったのかもしれない。
ただし、その横山社長も今年は喜寿を迎える。
事業継承はどの企業にとっても火急の課題。アークスも総合商社から人材を招き入れたり、若手を内部昇格させるなど模索が続けられている。
しかしながら、もし私の浅薄な読み通り、アークスが横山社長の徳の上に成り立っているとするならば、近い将来、組織上の難しい問題が起こる可能性も否定できない。
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