観光地のど真ん中! 京都・祇園の一等地で食べる、リーズナブルながら本格的な親子丼
「祇園」と聞くと、地元の人間にも何か特別な響きがある。伝統的な街並みは美しく、舞妓さん、芸妓さんが歩いている場面にも普通に遭遇する。観光客向けの土産物店だけでなく、高級クラブが多く、大人が通う場所とのイメージもある。今回は、そんな様々な顔がある祇園を歩き、親子丼を食べるというお話である。
伝統的な町並みの一角にある店
普段、私はビジネス街の四条烏丸を拠点に仕事をしているが、時々、歩くのが祇園である。同じ京都でも、鴨川を渡った途端、非日常の世界に突入する感じを味わえるのがよいのだ。
歌舞伎で有名な「南座」は、「八坂神社」「巽橋」などとともに祇園を代表するランドマーク。四条烏丸エリアからだと四条通を東へ進み、鴨川を越えると右手に見えてくる。
その起りは、江戸時代初期の慶長年間に遡る。現在の経営母体は映画、演劇の制作、興行や配給を手掛ける松竹である。
同社Webサイトによると、慶長8年(1603年)、「出雲阿国、京に至り歌舞伎踊を演ず」とある。慶長19〜20年(1614〜15年)には「四條河原を中心に櫓を構えた芝居小屋が並び始め、女歌舞伎や人形遣いの興行で賑わいを見せる。南座の原初形態か」と記されている。以来400年超、祇園の顔にふさわしい歴史があることがわかる。
南座から北北東260mの新橋通を中心としたエリア「祇園新橋伝統的建造物群保存地区」は、伝統的な街並みが特徴。少し歩くだけでも京都に来たことを実感できる。夜になるとさらに雰囲気がよく、一度、立ち寄ることをおすすめする。
周囲を歩くと、このエリアでしかお目にかかれない店もある。四条通花見小路の交差点を80mほど上(あが)り、つまり北に進んだ西側に小さな履き物店が営業している。下駄や草履といった和服向けの商品を扱うが、店頭にあるショーケースを覗くと、舞妓さんが履く、“厚底”の「おこぼ」が並んでいる。まさに祇園ならではの風景だ。
さて今回、食事をするのは前述した「祇園新橋伝統的建造物群保存地区」の一本南にある「とり新」という飲食店である。白川通に面し、やや古びた木造の外観は味わい深い。ここの親子丼を食べようと最初から決めていた。
同じ建物には、大和大路通と面する西側にも出入り口がある。実は、こちらの方が主で、店名は鶏の水だき・すき焼きを提供する「鳥新」。その姉妹店が、今から行こうとしている「とり新」との位置づけだ。
あちこち歩いたのでお腹が空いている。私は早速、暖簾をくぐった。
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