『通販生活』のリアル店舗小売業的読み方
久々に『通販生活』(2011春号:カタログハウス発行)を購入した。
メーンの特集は「読者が選んだ暮らしの道具ベスト100」とある。
第1位はメディカル枕(製造国イタリア)、第2位はマキタの30/15(同中国)、第3位は銅のかまど味(同日本)と続いている。
別冊付録①として封入されていたのは「国産食材にこだわるフードカタログ」の『ソロー』で、カタログハウス(東京都/佐倉住嘉社長)の「商品憲法」に合格した厳選食品66点が掲載されている。
トップを飾る商品は「熊本県 堤酒造の発酵黒大豆搾り」、2番手は「韓国 書院農協の書院禅食」といった具合だ。
さらに別冊付録②としてコスメマガジンの『Slowage』(スロワージュ)があり、『通販生活』が選び抜いた化粧品51点が掲載されている。
「さすが、『通販生活』!」とうなってしまう商品が続々で、ただ雑誌を眺めているだけで面白いし、勉強になる。
創業者で現取締役相談役の斎藤駿さんは自著『なぜ通販で買うのですか』(集英社新書)のなかで、「街のお店で容易に手に入る商品は通信販売では買ってもらえない。街のお店で買えない商品こそ通信販売の商品である」と書いているが、その執念にも似た商品開発力、ソーシング力は、いまもなお強烈だ。
だからなのだろう。『通販生活』は熱狂的なファンが多いことでも知られている。
ただ、惜しむらくは、価格が高いことである。ほとんどの商品が1000円以上の価格をつけており、素晴らしい商品であろうと想像はつくものの、私などは躊躇が先に走ってしまう。
ということは、ここにリアル店舗を展開する小売業にとってはチャンスがあるはずだ。
そう、『通販生活』や『ソロー』『Slowage』を商品開発のヒント集だと考えればいい。
これらカタログ雑誌に掲載されているものと同じ機能を備える商品を低価格で販売できれば、ひょっとすると大ヒットPB(プライベートブランド)商品になるかもしれない。食品スーパー、ドラッグストア、ホームセンターにとっては、物凄いアイデアがごろごろしているのだ。
「街のお店で買えない商品が通信販売の商品」だとするならば、それを逆手に取った商売もあるはず――。
『通販生活』は、これで180円なのだから、本当に安い買い物だ。
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