「駅伝発祥の地」京都・三条大橋、老舗食堂の看板メニュー「皿盛」とはどんな料理なのか

2025/06/20 05:00
森本 守人 (サテライトスコープ代表)

 和風要素を取り入れた看板メニュー「皿盛」

 「お次の方どうぞ」と声をかけられ中へ。運良く店内を見渡せる窓際の席を確保できた。お品書きをちらと確認したが、すでに注文するのは決まっている。この店の看板メニューのひとつ「皿盛(さらもり)」、そしてビール。なお、もうひとつの看板メニューは「中華そば」で、このツートップをセットで頼む人も少なくない。

壁に並ぶ料理の数々。今回注文した「皿盛」と「中華そば」がツートップ

 料理が来るまで周囲を観察すると、利用客が多様だということが分かった。地元の常連客も多い一方、ランチ利用の会社員、また近年はネットの普及により京都以外からのお客も見られる。私の左隣に座った年配夫婦も旅行客だった。

 あらためてこの「篠田屋」について説明すると、創業明治37年(1904年)の食堂だ。冒頭に触れた日本初の駅伝が開かれたのが1917年で、発祥地との距離は100mほどなので、選手はじめ関係者が利用した可能性も十分考えられるのである。

 そうこうしている間に、私の目の前に届けられたのがこれ。

目の前に届けられる。おいしそう!ごはんの上にトンカツ、そこに「カレーうどんのルー」がかかっている

 どうです、おいしそうでしょう。ごはんの上にこんがり揚がったトンカツ、そこに黄金色ながら半透明のあんかけ風カレーがかかっている。店の説明書きには、「カレーうどんのルー」とあり、だしを効かせて和の要素を取り入れているようだ。オリジナルメニューで、「皿盛」という名前も風情があっていい。

料理の説明書きは「御飯の上にカツをのせてカレーうどんのルーをかけたもの。ちょっと和風な感じがいい!」とある

 早速いただく。スプーンを手にまずはカツにカレーのルーを少しつけ、食べる。薄く、カリッとした食感がたまらない。ビールがいくらでも飲める感じの味わいである。なおカレーは見た目よりもスパイシーである。

カツにカレーのルーを少しつけ食べる。これはビールが進みます

 続いて、ごはん、カツ、ルーを一気にすくって口へ。お〜!これはおいしい。再びビールを飲んだ後、次々と食べ進め、そしてフィニッシュした。

 飲食店がおいしい料理を提供するのは重要だが、さらに「オリジナル」があると強いと改めて感じた。他の店にはない味を工夫することで、固定客の獲得、他店との差別化に強い武器となるためだ。入口を見ると、依然として行列ができている。身支度を整え、私は満足な気持ちで店を出た。

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記事執筆者

森本 守人 / サテライトスコープ代表

 京都市出身。大手食品メーカーの営業マンとして社会人デビューを果たした後、パン職人、ミュージシャン、会社役員などを経てフリーの文筆家となる。「競争力を生む戦略、組織」をテーマに、流通、製造など、おもにビジネス分野を取材。文筆業以外では政府公認カメラマンとしてゴルバチョフ氏を撮影する。サテライトスコープ代表。「当コーナーは、京都の魅力を体験型レポートで発信します」。

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