異国の魅力あふれる街、大阪・鶴橋 こだわりの店で焼肉を楽しむ
おいしい焼肉に大満足
鶴橋に来たら、食べたいのは焼肉。駅周辺にも数多くあるが、せっかくなら少し変わった系統の店はないものか。そう考え、調べるうち興味を持ったのが「小川亭 とらちゃん」である。
公式サイトを見ると、「創業1979年 肉に妥協せず ひたむきに」と記してある。さらに「シェフの目利きで、その時の新鮮で上質なものを厳選して仕入れております」などの文言から、“熱い”思いが伝わってくる。
駅から歩いて数分で到着。見上げると看板には屋号とともに「ブランドの誇り」とのキャッチコピーが書かれてある。いちいち“熱い”ところが興味深い。それにしても、焼肉店で「ブランド」という言葉を使うとは珍しい。
入店する。昼時だったが比較的空いており、すぐに座ることができた。メニューを開くと、いくつかの「ランチセットメニュー」が載っている。「楓」「桜」「椿」の3種類のうち、2500円の「椿」を選択、スタッフのお姉さんに注文した。
店内を観察すると、落ち着いた内装で高級感がある。奥に座っている女性2人はマダム風で、身なりも小綺麗な様子。
そうこうするうちに私の目の前に届けられたのがこれ。タン塩、クラシタロース(ロースの肩に近い部位)、ミノの組み合わせで合計200g。どうです、おいしそうでしょう。
すでにアツアツになっている網に、クラシタロース、タン塩×2、ミノ、さらに野菜を乗せる。これらを、じっくりと育てるように焼く。たまに長細いトングを使い、意味なく表面を押さえたり、端をめくってみたり。
そうするうちにクラシタロースが完成、好みの“ウェルダン”に仕上がる。箸でそっと持ち上げ、タレにつけ口へ。もう最高である。続けて、ごはんを食べたが、これが止まらない。落ち着いたところでタン塩、続けてミノも。風味もよく、完全にノックアウトである。
夢中になって食べ、そして完食。ごちそうさまでした。座席の背にもたれ、しばし幸せの時間を味わう。
しばらくして入口すぐのレジでお勘定を済ませる。カードで決済中、ふと横を見ると、誰かのサインが飾ってある。近づくと、2022年7月、凶弾に倒れたあの元首相のものだった。店員の女性に教えてもらい、数年前に来店されたことを知る。一国のトップが訪れるとは驚きだ。
店を出た後、Webサイトにあった文言や、看板にあった「ブランドの誇り」といった表現を思い出していた。何事も自分の方向性を明確にして言葉にすることは、「差別化」に有効なのかも知れない、そんなことを考えながら歩いていた。