異国の魅力あふれる街、大阪・鶴橋 こだわりの店で焼肉を楽しむ

2024/03/01 05:59
森本 守人 (サテライトスコープ代表)
Pocket

おいしい焼肉に大満足

 鶴橋に来たら、食べたいのは焼肉。駅周辺にも数多くあるが、せっかくなら少し変わった系統の店はないものか。そう考え、調べるうち興味を持ったのが「小川亭 とらちゃん」である。

「鶴橋」駅から徒歩数分にある「小川亭 とらちゃん」

 公式サイトを見ると、「創業1979年 肉に妥協せず ひたむきに」と記してある。さらに「シェフの目利きで、その時の新鮮で上質なものを厳選して仕入れております」などの文言から、“熱い”思いが伝わってくる。

ランチメニューのうち2500円の「椿」を選択。店内は落ち着いた内装

 駅から歩いて数分で到着。見上げると看板には屋号とともに「ブランドの誇り」とのキャッチコピーが書かれてある。いちいち“熱い”ところが興味深い。それにしても、焼肉店で「ブランド」という言葉を使うとは珍しい。

 入店する。昼時だったが比較的空いており、すぐに座ることができた。メニューを開くと、いくつかの「ランチセットメニュー」が載っている。「楓」「桜」「椿」の3種類のうち、2500円の「椿」を選択、スタッフのお姉さんに注文した。

 店内を観察すると、落ち着いた内装で高級感がある。奥に座っている女性2人はマダム風で、身なりも小綺麗な様子。

 そうこうするうちに私の目の前に届けられたのがこれ。タン塩、クラシタロース(ロースの肩に近い部位)、ミノの組み合わせで合計200g。どうです、おいしそうでしょう。

私の目の前にランチが置かれた。これはおいしそうだ

 すでにアツアツになっている網に、クラシタロース、タン塩×2、ミノ、さらに野菜を乗せる。これらを、じっくりと育てるように焼く。たまに長細いトングを使い、意味なく表面を押さえたり、端をめくってみたり。

 そうするうちにクラシタロースが完成、好みの“ウェルダン”に仕上がる。箸でそっと持ち上げ、タレにつけ口へ。もう最高である。続けて、ごはんを食べたが、これが止まらない。落ち着いたところでタン塩、続けてミノも。風味もよく、完全にノックアウトである。

すでにアツアツになっている網に、クラシタロース、タン塩×2、ミノ、さらに野菜を乗せる
箸でそっと持ち上げ、タレにつけ口へ。もう最高である

 夢中になって食べ、そして完食。ごちそうさまでした。座席の背にもたれ、しばし幸せの時間を味わう。

 しばらくして入口すぐのレジでお勘定を済ませる。カードで決済中、ふと横を見ると、誰かのサインが飾ってある。近づくと、2022年7月、凶弾に倒れたあの元首相のものだった。店員の女性に教えてもらい、数年前に来店されたことを知る。一国のトップが訪れるとは驚きだ。

看板にあった「ブランドの誇り」との文字

 店を出た後、Webサイトにあった文言や、看板にあった「ブランドの誇り」といった表現を思い出していた。何事も自分の方向性を明確にして言葉にすることは、「差別化」に有効なのかも知れない、そんなことを考えながら歩いていた。

1 2

記事執筆者

森本 守人 / サテライトスコープ代表

 京都市出身。大手食品メーカーの営業マンとして社会人デビューを果たした後、パン職人、ミュージシャン、会社役員などを経てフリーの文筆家となる。「競争力を生む戦略、組織」をテーマに、流通、製造など、おもにビジネス分野を取材。文筆業以外では政府公認カメラマンとしてゴルバチョフ氏を撮影する。サテライトスコープ代表。「当コーナーは、京都の魅力を体験型レポートで発信します」。

© 2024 by Diamond Retail Media

興味のあるジャンルや業態を選択いただければ
DCSオンライントップページにおすすめの記事が表示されます。

ジャンル
業態