ジュピターショップチャンネル 代表取締役社長 篠原 淳史
商品力・番組力・オペレーション力、三位一体の底上げで成長する
商品カテゴリー別の売上構成比を見てみると、「ジュエリー&ファッション」が37%と最も高く、「コスメ&美容・健康」が32%、「ホーム&家電」が20%、「グルメその他」が11%と続いています。そして、この豊富な商品ラインアップを支えているのが、よい商品を求めて国内外を駆け回るバイヤーたちです。彼らは、日本国内はもちろん世界中にアンテナを張り巡らせて、価値ある商品の発掘に注力しています。
また長きにわたってメーカーとウィン・ウィンの関係を築いてきていることも、商品力につながっていると言えるでしょう。どちらかが無理を言っていたのでは、よい関係は続きません。たとえば、掃除機のダイソンとは一緒にマーケットをつくり上げてきたという思いがあります。
──番組力についてはいかがですか。
篠原 メーカーとのウィン・ウィンの関係はショップチャンネルの力の源泉ですし、商品力のみならず番組力にもつながっています。なぜならば、強いこだわりを持って丹精を込めて商品をつくっているメーカーの担当者が実際に番組で話すことで、その魅力や開発にかけた思いがお客さまに伝わるからです。そうしたつくり手の思いと、番組づくりのテクニックが相まって番組力を生み出しています。
生放送ですから、お客さまが番組を見ていてわからないことがあれば、すぐにコールセンターに電話で問い合わせることも可能です。そうした声を参考に、コールセンターとスタジオが直接連携して、番組内でリアルタイムに新たな説明を加えたりしています。
また、一気に注文が増えた場合などに、出演者の言葉、商品デモ、お客さまの生電話などの中から、どれに反応したのかを、2秒ごとに更新されるデータを確認して把握するようにしています。このようなスタジオとコールセンターの連携、システムを通じたリアルタイムのデータ把握によって、今この瞬間のお客さまの反応に合わせて商品紹介の切り口を臨機応変に変えながら、番組を進行しています。
──オペレーション力はどういうことを指しますか。
篠原 当社は、1日当たり7万1000件のお電話、4万2000箱の出荷数を継続して処理し続けられる体制を整えています。
コールセンターで受注し、お客さまに商品を確実にお届けし、もし問い合わせがあれば丁寧に対応するというのがオペレーション力の根幹です。注文以外の問い合わせも1日2500件以上、寄せられています。お客さまからの声は非常に大切です。今日のお客さまの声のキーワードは何だったのかといったことを日々分析して可視化できるようにしています。そしてその結果を品揃えに反映したりすることで、顧客価値の向上につなげているのです。
ジェイコム、KDDI シナジーに期待
──今年3月、ジュピターテレコム、KDDIという新しい株主が加わりました。どのような協業を考えていますか。
篠原 新しく株主に加わったジュピターテレコム、KDDIとのパートナーシップのもと、各社の強みを生かしたシナジーによって、顧客基盤やインターネット販売の拡大へも注力していきたいと考えています。具体的な施策はこれからになりますが、たとえばauのユーザーにどのような商品が気に入ってもらえるのかモニターするだけでもシナジーを発揮できるでしょう。
今後の成長を考えていくと、最大ボリューム層となるであろう40代の女性と向き合っていく必要があります。40代の女性は、その上の世代と比べるとテレビを見ない傾向にあります。ですから、テレビだけでなく、パソコンやスマホなどより多くのチャネルを活用しながら訴求していく必要があります。たとえばスマホからでも1時間視聴してもらえるような番組づくりとはどのようなものか考えていかなければなりません。オムニチャネルも含めて、お客さまが好きな場所で好きな商品を見てもらえる環境を整えることに力を入れていきたいと思います。協業が生かされる分野は増えていくでしょう。