ジュピターショップチャンネル 代表取締役社長 篠原 淳史
商品力・番組力・オペレーション力、三位一体の底上げで成長する

2016/11/01 17:00
Pocket

24時間完全生放送が成長の起爆剤に

──日本でテレビショッピングが定着してきた要因をどのように見ていますか。

 

篠原 テレビ番組の合間にCM的に流されていた時代を経て、1990年代初めに、米国の「インフォマーシャル」と呼ばれる業態が日本に持ち込まれました。それで、テレビショッピングが少しずつ定着していったのです。インフォマーシャルというのは、その名称からわかるとおり、「インフォメーション」と「コマーシャル」を合わせたコンセプトで、ターゲットを限定して1つの商品を30分くらいかけてじっくりと紹介するのが特徴です。

 

 商品としてはおもに、ニッチではあるけれども、ユニークで魅力的な商品がいち早く取り上げられていきました。わかりやすい例としては、米国でヒットしたエクササイズの映像ソフト「ビリーズブートキャンプ」があります。日本でも、米国でヒットした商品をはじめ、そうしたニッチだけれども限りなくポテンシャルが高い商品がインフォマーシャルで販売されていきました。

 

 インフォマーシャルが定着していった要因には、日本の民放のメディアとしてのパワーもあるでしょう。これがブレイクする背景にあったと思います。インフォマーシャルでヒットした商品には、ビリーズブートキャンプ以外にも、たとえば、洋楽のヒット曲を集めたコンピレーションCDや、それに続いて発売した日本のヒット曲を集めたコンピレーションのCDなどがありました。

 

──96年に設立されたショップチャンネルは、04年に日本のテレビショッピング専門チャンネルとして24時間完全生放送をスタートしています。

 

篠原 われわれの業態は米国で80年代半ばに誕生しました。96年に事業を開始した当社は、日本のお客さまに合わせた商品を開発することに力を入れていきました。国内でインフォマーシャルの波があり、一方でCATV(ケーブルテレビ)の普及も進んでいったことから、専門チャンネルとして24時間放送するタイミングが来たと判断し、自前のスタジオビルを持ち、24時間完全生放送を開始しました。それが04年のことです。

 

 CATVの普及が続き、放送時間の拡大したことから、われわれにとっての“売場面積”もまた急速に拡大していきました。CATVの普及によってメディアの構造そのものも大きく変化していくなかで、CATVの1つのコンテンツとして確立していったと言えるでしょう。

 

──04年度から07年度にかけて、売上を倍以上も伸ばしています。

 

篠原 やはり、04年に24時間365日の完全生放送へと踏み切ったことが、1つの大きなターニングポイントとなりました。売上高は04年度の503億円から、翌05年度は761億円、そして07年度には1023億円と大きく伸ばすことができました。

 

 ただし、そこからは成長速度が鈍化したのも事実です。理由としては、08年のリーマンショックも大きいのですが、それ以上に「1000億円の壁」がありました。売上規模が1000億円を超えてくると、ビジネスとして成熟し、新規のお客さまを獲得するのが難しくなってくるのです。これは当社だけでなく、他業態も含めた、年間売上1000億円超の通信販売のすべての企業が経験しているはずです。

 

 私は07に社長に就きましたが、1000億円の壁をどう乗り越えるか、試行錯誤の連続でした。ですから、少しずつではあっても、毎年確実に増収を積み重ねていくということは、とても重要なことだと考えています。

 

番組でじっくり伝える商品の魅力と価値

──次の成長に向けてどのようなことに力を入れていきますか。

 

商品力とならんで、番組力、オペレーション力がショップチャンネルの強みだ商品力とならんで、番組力、オペレーション力がショップチャンネルの強みだ

篠原 新中期経営計画の重点施策に掲げている商品力・番組力・オペレーション力の強化に愚直に取り組んでいくしかないと考えています。商品力と番組力という攻めと、オペレーション力という守りを、ともに強くしていく。これはこの先も一貫して取り組むべき最重要テーマです。しっかりと収益を確保し続けているのも、これらを三位一体としてとらえ、取り組んできたことの結果だと考えています。

 

 20年間の成長を支えてきた商品力・番組力・オペレーション力のさらなる強化に取り組みながら、当社のスローガンである「心おどる、瞬間を。もっと。」をお客さまに提供していきたいと考えています。

 

──やはり、商品力の強化は、もっとも重要なテーマですよね。

 

篠原 小売業ですから、商品は第一です。当社の商品は、価値が高く、それに説得力があります。そして、たえずこの商品力を磨き上げることに重きを置いています。ショップチャンネルは、商品を店頭で販売するのとは異なり、番組で30分~1時間かけて商品の魅力をじっくり言葉と映像で伝えることができます。ですからそれに見合った商品であるかどうかが非常に重要になってくるのです。

 

 ショップチャンネルの番組では、ファッションをはじめ、コスメ、家庭用品、健康グッズ、グルメなど、世界中から厳選した商品を毎週約700アイテム紹介しており、お客さまは24時間いつでも注文することができます。毎週紹介する約700アイテムのうち約半数は新商品です。ショップチャンネルがお客さまから高い支持を得ている理由の1つは、こうした圧倒的な商品数にあると自負しています。

 

1 2 3
© 2024 by Diamond Retail Media

興味のあるジャンルや業態を選択いただければ
DCSオンライントップページにおすすめの記事が表示されます。

ジャンル
業態