大地を守る会代表取締役社長 藤田 和芳
有機栽培野菜へのこだわりを武器に事業拡大めざす

2014/03/03 15:00
Pocket

TPPに危機感 日本の農業を守る

──さて、13年3月にローソンと業務・資本提携を結びました。意外だったというのが正直な感想です。

 

藤田 そうかもしれません。当社は、TPPに対する危機感から、ローソンと手を結ぶことになりました。

 

 それまでは、契約農家とともにTPP反対を主張してきました。しかし、日本政府はTPP交渉参加を表明し、輸入農産物への関税がなくなる可能性が高まっています。国内で割安な輸入農産物が販売されれば、日本の農家が被る打撃は大きい。

 

 しかしそれでも、日本の農家の生産基盤や優れた農業技術を残したいと考えていました。そんな時に知り合ったのがローソンの新浪CEOです。新浪CEOはTPPを推進する立場で、われわれの主張とは異なりましたが、日本の農業を守るために何かしたいという志は同じでした。また、当社としても農産物の販路を拡大できれば農家の手助けができると考え、ローソンと組むことを決めたのです。

 

 資本提携まで踏み込んだのは、単なる業務提携だけでは、双方のトップや担当者が代わった場合に、提携関係が変わってしまう可能性があるからです。

 

 当社は、農家をパートナーとして計画的に農産物を生産し、お客さまに提供することを使命としています。当社の商品を販売するローソン店舗が増えれば、農家に対して生産量を増やしてもらうことになります。その意味からも、農家に対してこれまで以上の協力を仰ぐためには、ローソンと安定的な関係を保つことが大事です。資本提携は、そのためにも必要でした。

 

──提携の進捗はどうですか。

 

藤田 健康を意識した商品を揃えた「ナチュラルローソン」のうち東京都内の約20店舗のほか、ローソンの実験店舗、そしてローソンとヤフー(東京都/宮坂学社長)さんが共同運営する宅配サービス「スマートキッチン」で当社の有機・契約栽培野菜などを販売しています。今後5年でナチュラルローソンを3000店舗に増やすと表明されているので、当社の商品を取り扱う店舗は増えていくと期待しています。ローソンの店舗で当社の商品が認知されれば、当社の会員を増やせる可能性も高まります。ナチュラルローソン店内で宅配事業の会員募集も試験的に始めています。

 

 ローソンは昨秋から当社の有機・契約栽培野菜を使ったスティックサラダなどのオリジナル商品の販売も開始しました。今後は、ローソンのプライベートブランド(PB)として販売する総菜など中食関連の商品に、当社の有機・契約栽培野菜を素材として使用することなどを計画しています。

地産地消型の物流体制を強化する

──今後の経営課題を教えてください。

 

藤田 ネット販売を強化するために、地方に物流拠点を設け、地産地消型の物流体制を整備していくことです。

 

 当社のEC事業である「大地を守る会のウェブストア」でご注文いただいた商品は、千葉県内にある物流センターから全国に発送しています。ただ、地方からの注文の場合、納品までに時間がかかってしまいます。

 

 たとえば、北海道から注文を受けた場合、北海道産の農産物であっても、当社の千葉県内の物流センターにいったん納品され、そのあと北海道に配送することになっています。こうした物流システムの効率の低さを改善するために、全国に拠点を増やしていきたい。全国的に地産地消の意識が高まっているということもありますから、早急に拠点を整備する必要があると考えています。

 

 しかし、ローソンと提携したことにより、一気に物流機能の拡充を図ることが可能になってきています。国内1万1000店を超える店舗を展開するローソンは、全国に物流センターを有しています。この物流センターを地産地消型の物流に活用する方向で、話を進めているところです。これが実現すれば、従来よりも鮮度の高い商品を迅速に配達することが可能となり、EC事業の拡大につながると期待しています。

 

──すでに中国で宅配事業を始めていますが、海外事業の展望について教えてください。

 

藤田 13年7月からは、中国・北京市において、現地のNGO(非政府組織)とともに合弁会社を設立し、日本と同じモデルの宅配事業にチャレンジしています。

 

 中国の生産者に専門的な農業技術やノウハウを提供し、安全で品質の高い農産物の栽培に取り組んでいるところです。すでに500人ほどの会員を獲得することができました。中国では食の安全・安心が社会問題となりつつありますから、当社の宅配事業が受け入れられる土壌はあると考えています。北京で宅配事業の礎を築き、5年後をめどに上海でも事業を展開することをめざしています。

 

 上海にはローソンの店舗もあるので、そこで農産物を販売することも可能になります。宅配と店舗販売を組み合わせたモデルを構築できれば、将来的にはローソンが進出している海外のほかの国でも、同様の事業を展開する可能性もでてくるでしょう。

1 2 3
© 2024 by Diamond Retail Media

興味のあるジャンルや業態を選択いただければ
DCSオンライントップページにおすすめの記事が表示されます。

ジャンル
業態