シジシージャパン CGCグループ代表兼社長 堀内淳弘
家庭での料理を支援し、食品スーパーの存在意義を発揮する!

2013/04/22 15:00
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CVSやDgSとどう戦うか

──実際にそうした活動に取り組んでいるメンバー企業はありますか。

堀内 「弁当の日」の普及にいち早く動き出したメンバー企業が、キヌヤ(島根県/領家康元社長)さんです。キヌヤ東町店の近くの益田東中学校では、2010年度から1年に3回「弁当の日」を実施しています。昨秋、キヌヤ東町店は、益田東中学校に「弁当の日」の応援を申し出ました。

 具体的には、地元産の商品コーナーを設置したり、生徒が弁当用の食材を購入する際にレジでアルミケースをプレゼントしたりしています。また、「弁当の日」応援POPを店内随所に設置し、生徒がつくった弁当の写真を店内に掲示して「弁当の日」を盛り上げています。こうした活動が、地域でのSMの存在意義を示すことにつながると考えています。

 今は家庭で漬けた梅干しなど、本来の味を知っている人が少なくなってきています。そこで、CGCの開発商品で昔ながらの本来の味を提供しようという取り組みも始めています。

 現在、CGCでは食品の廃棄ロス削減と災害時対応の食料保存の観点から、プライベートブランド(PB)の賞味期限延長に取り組んでいます。12年度にもいくつかの商品の賞味期限を延長しました。

 一方で、賞味期限が短い商品の開発にも挑戦しています。簡単に言うと、あまり日持ちのしない商品です。これは、潤沢に供給できるだけの製造量を確保することは難しいでしょう。ある程度、限定的にはなると思いますが、基礎調味料などから開発に取り組んでいるところです。

──コンビニエンスストア(CVS)が生鮮食品を販売したり、ドラッグストア(DgS)が食品の品揃えを強化しています。依然、価格競争も続いています。家庭で料理を支援する余裕をSMは持てますか。

堀内 業態間競争はますます激しくなっています。CVSの商品開発力は脅威ですし、販売管理費の低さと食品売上高構成比の高さを武器にするDgSの台頭にも脅威を感じます。価格競争によって、疲弊した現場があることも事実です。このような状況で、料理を支援する取り組みに目を向けてもらうのは大変だということは十分理解しています。

 しかし、それでもやらねばいけないと思うのは、危機感からです。今、SMの存在理由が問われています。生鮮食品を買って、家庭で調理する人が少なくなれば、SMの存在意義を発揮できなくなります。逆にいえば、料理をしてくれる人を増やす以外に、SMがお客さまを増やす方法はないのです。

 CGCメンバーの中には、料理教室を開催している企業や、レシピを紹介するコーナーを売場内に設けている企業があります。たとえば、静鉄ストア(静岡県/竹田昭男社長)さんは、32店舗中2店舗にフードスタジオを併設し、料理教室を開催しています。お客さまに大好評です。

 料理教室やメニュー提案のスペースが確保できない店舗でも、やりようはあるはずです。今、メーカーさんにもご協力いただき、企画案を出していただいているところです。とにかく、お客さまに料理をしてもらう運動を何とか全国的に展開していきたいと考えています。そのために、CGCメンバー企業に対して、さまざまなかたちで情報発信をしていくつもりです。

 たとえば、恵方巻きの提案の仕方を変えようと思っています。CGCメンバーのぎゅーとら(三重県/清水秀隆社長)さんは昔から恵方巻きを扱っていて、今では節分の日だけで全店合計で10万本以上を販売します。これはハレの日の提案なので、ほかのメンバーも挑戦しようということで全国に広まりました。ところが最近は、CVSはもちろん、DgSまで恵方巻きを販売しています。それならば、われわれはやり方を変えて、「わが家」をテーマに手づくりを提案しようと考えています。

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