トイザラス・インク(米国) 会長兼最高経営責任者(CEO) ジェラルド・ストーチ
リアル店舗とeコマースが融合したマルチチャネル戦略で次世代のトイザらスをつくる
──米国の子ども関連市場の動向を教えてください。
ストーチ 部門によって異なりますが、玩具や知育玩具の分野は好調です。一方、とくに子ども向けのビデオゲームは下降傾向です。ただ、ビデオゲームの代表的な企業、任天堂(京都府/岩田聡社長)が来年、「Wii U(ウィー・ユー)」という新商品を発表しますので、12年は期待が持てるでしょう。
もう一つ大きなマーケットに、ベビー関連市場があります。おむつやベビーカー、チャイルドシートなどの商品が含まれます。
現在、ベビー用品のマーケットは横ばいで推移していますが、08年以降は米国内でも出生率が下がってきて市場は縮小傾向です。そうした中でもベビー用品に力を入れている当社は、競合他社からシェアを奪ってこのカテゴリーの売上を伸ばしています。
玩具+ベビー用品で顧客獲得に成功
──05年に投資グループがトイザラス・インクを買収しました。当時は厳しい環境だったと思います。CEOに就任して以降、どのようなリストラ策に取り組み、経営を軌道に乗せたのでしょうか?
ストーチ トイザラスは05年にKKR、ベイン・キャピタル、ボルネードの関連会社3社が対等に株式を保有するかたちで株主となり、私は06年初めに当社のCEOに就任しました。
私が最初に着手したのは、マネージメントクラスの人事の刷新です。現在の日本法人社長のモニカ・メルツ氏のように必要な人材として留まってもらった人もいますが、上級職のほとんどが退職しました。残った上級職も、当初の職責とは違うポジションに異動しました。
会社に大きな変革をもたらす場合、同じ人では袋小路から抜け出すことができなくなりますから、人事も変更が必要です。新しいアイディアは、新しい人からしか生まれないからです。
──店舗戦略はどう考えますか?
ストーチ 私は企業を経営するに当たり、常に成長することに注力しています。経営者の仕事は、ビジネスを成長させることだと思っています。集客力を高め、従業員数を増やし、仕事をつくっていくこと──それが当社の目的です。
そうした考えからこれまで新規出店や既存店の改装に投資してきました。改装のほとんどが「サイド バイ サイド ストア(SBS)」への転換です。玩具と子ども用品を展開する「トイザラス」と、ベビー用品の「ベビーザラス」が併設するもので、これが大変うまくいっています。
この戦略は日本を含めた世界各国のトイザラスに共通するものです。