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7月の貿易収支、再び赤字に=中国経済懸念、黒字定着には時間

青海コンテナ埠頭を離れる貨物船
〔写真説明〕青海コンテナ埠頭を離れる貨物船=16日、東京都江東区(EPA時事)

 財務省が17日発表した7月の貿易収支は787億円の赤字だった。6月は23カ月ぶりの黒字となったが、再び赤字に戻った。輸出が半導体関連製品などの不振で29カ月ぶりに減少したのが響いた。前年同月比で赤字幅は大幅に縮小しており、収支の改善基調は続いている。だが、中国経済の減速といったリスク要因は無視できず、黒字の定着までこぎ着けられるかは不透明だ。

 7月の輸出総額は0.3%減の8兆7250億円。このうち自動車は1兆5905億円と過去最高を更新した。対米国が34.1%増とけん引、半導体の供給回復による堅調さを示した。ただ、対中国は23.5%と大幅に減少した。

 輸出総額で見ても、対米・対EU(欧州連合)は増加を維持した一方、中国は8カ月連続の減少で、足元の減少幅は拡大している。不動産不況の長期化など中国経済への懸念は強く、今後も輸出の足かせとなる可能性がある。

 輸入総額は、資源高の緩和を背景に13.5%減の8兆8037億円と、4カ月連続で減少した。ただ、円相場が17日に一時1ドル=146円台半ばと約9カ月ぶりの安値水準となり、急速に円安が進行。再び輸入額が膨張する恐れも出てきた。

 先行きに関し、SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは、円安とともに、OPEC(石油輸出国機構)の減産などで原油価格上昇の悪影響が再燃する可能性があると指摘する。「短期的には原油価格が(貿易収支の)赤字に与える影響は大きい。黒字定着にはもう少し時間がかかるだろう」と分析している。