経常赤字、2兆円迫る=資源高に円安追い打ち―1月

時事通信社
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財務省が8日発表した1月の経常収支は、赤字額が過去最大の1兆9766億円を記録した。(i-stock/yongyuan)

 財務省が8日発表した1月の経常収支は、赤字額が過去最大の1兆9766億円を記録した。資源高に加えて円安で輸入額が大きく膨らんだ一方、輸出額が伸び悩んだ。水際対策の緩和などで旅行収支は改善しつつあるが、資源価格や為替相場の動向に左右される構図は変わらず、経常収支の悪化傾向は続く可能性がある。

 輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は3兆1818億円の赤字で、こちらも単月の赤字幅としては過去最大となった。輸入額は前年同月比22.3%増の10兆45億円で、資源高に加えて円安が輸入額を押し上げた。

 米国のインフレが沈静化せず、ここにきて日米金利差の拡大が意識されて再び円売り・ドル買いが加速している。8日の東京外国為替市場の円相場は1ドル=137円台後半と昨年12月以来の安値圏に下落。輸入額の増加圧力が再び強まっている。

 これに対し、輸出額は3.4%増の6兆8227億円と伸び悩んだ。中国の春節(旧正月)休暇の時期が前年より早く、企業活動が停滞した影響が1月に大きく出たためだ。

 一方、水際対策が緩和されて訪日外国人旅行客が戻り始めており、旅行客の日本での消費から日本人旅行者による海外での消費を差し引いた旅行収支は改善しつつある。1月は1779億円の黒字を計上したが、巨額の貿易赤字を補うにはほど遠い。

 ロシアのウクライナ侵攻を契機に加速した資源高はピークを越えたとみられるものの、価格が高止まりして経常収支は悪化しやすい環境が続きそうだ。SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは1月が過去最大の経常赤字となった背景について、もともと貿易赤字が拡大していたことに加えて「春節や正月休みなど一時的な要因が重なったことが大きい」と指摘する。ただ、「中国経済の持ち直しもあり資源価格は下がりにくく、経常収支が改善しにくい状況が続く」と予測する。

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