財務省が16日発表した1月の貿易統計速報(通関ベース)は、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支が3兆4966億円の赤字となった。赤字は18カ月連続で、単月の赤字幅は比較可能な1979年以降で過去最大。資源高と円安で輸入額が増えたことに加え、輸出の停滞が響いた。今後、資源高や円安が一服しても、世界経済の減速で輸出の下押し圧力が続く可能性がある。
1月の輸入総額は前年同月比17.8%増の10兆478億円と、1月として過去最高。品目別では、石炭や液化天然ガス、原油などエネルギー資源の伸びが引き続き輸入総額を押し上げた。
輸出総額は3.5%増の6兆5512億円。こちらも1月では過去最高だったが、伸び率は4カ月連続で鈍化し、昨年2月から続いていた2桁台の伸びが途切れた。品目別では、自動車や軽油などが伸びたが、自動車部品や半導体製造装置、プラスチックは減少した。
1月の輸出の鈍化は、中国向けが17.1%減と低迷したことが主因。前年に比べて春節(旧正月)休暇が早かったため、企業活動停滞の影響が1月に大きく出た。もっとも、荷動きを示す輸出数量指数で見ると世界全体に対しても11.5%落ち込み、4カ月連続のマイナス。低下幅も拡大を続けており、輸出の失速が鮮明になりつつある。
農林中金総合研究所の南武志理事研究員は、資源高や円安が一服していることなどから「貿易赤字が(さらに)拡大する局面ではない」と指摘。ただ、輸出については「円安による押し上げ効果が落ちてきていることに加え、世界経済全体の減速の影響で停滞が続くとみられる」と述べ、当面は赤字基調になるとの見方を示した。
◇1月の貿易統計
輸出額 輸入額 差引額
総 額 65,512 100,478 ▲34,966
( 3.5) ( 17.8) ( ― )
〔主要貿易相手別の内訳〕
中 国 9,675 23,906 ▲14,231
(▲17.1) ( 12.3 )( ― )
米 国 12,310 9,504 2,807
( 10.2) ( 21.5) (▲16.1)
E U 6,763 8,501 ▲ 1,738
( 9.5) (▲ 2.4) ( ― )
(注)通関ベース。単位億円、億円未満四捨五入。カッコ内は前年同月比増減率%。▲は赤字または減。―は比較できず