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貿易赤字、最大19.9兆円=「国富流出」懸念も―22年

都内 港
資源高と円安の影響で輸入額が膨らみ、貿易赤字の拡大に歯止めがかからない。(i-stock/yongyuan)

 資源高と円安の影響で輸入額が膨らみ、貿易赤字の拡大に歯止めがかからない。財務省が19日発表した2022年の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は19兆9713億円の赤字と過去最大を記録。赤字基調は23年も続くとみられ、「国富流出」懸念が高まりそうだ。

 輸入額は初めて100兆円を超え、118兆1573億円となった。うち3割近くを占めたのが、原油、液化天然ガスなどを含む鉱物性燃料だ。ロシアのウクライナ侵攻を背景に石油などの資源価格が高騰。日米の金利差拡大によって円安が急速に進んだことも輸入額の膨張に拍車を掛けた。22年の円相場は平均で1ドル=130円77銭と、前年比19.5%下落した。

 第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは「日本の貿易構造が脆弱(ぜいじゃく)になっている」と指摘。「海外に購買力が流出してしまう『悪い貿易赤字』になっている」と分析する。

 22年12月の貿易収支は1兆4485億円の赤字で、赤字は17カ月連続と常態化しつつある。鈴木俊一財務相はこれまで「貿易赤字を通じた資源国への国富流出に留意する必要がある」との認識を示している。

 一方、輸出は今後低迷する恐れがある。中国が新型コロナウイルスを徹底的に抑え込む「ゼロコロナ」政策を緩和したものの、インフレ抑制へ利上げを進めた米欧の景気減速は輸出にマイナスだ。

 貿易収支の先行きについて、SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは「円安と原油高の一服で赤字幅は縮小するものの、23年も10兆円を超える貿易赤字となる可能性がある」と予測。購買力が国内で消費されずに海外流出する事態が続きかねない。