【北京時事】中国国家統計局が15日発表した10月の小売売上高は前年同月比0.5%減と、5カ月ぶりにマイナスとなった。前月からは3ポイントの低下。厳格な新型コロナウイルス対策が長期化するとの懸念から、消費者心理が一段と冷え込んだ。
中国では10月、5年に1度の共産党大会の開催に合わせて全国的に行動制限が強化された。党大会でコロナ対策継続の方向性が示されたこともあり、景気の先行きに対する悲観的な見方が市民の間に広がったもようだ。
消費の柱である自動車は3.9%増と、前月(14.2%増)から急減速。コロナ対策の影響を受けやすい飲食は8.1%減だった。
鉱工業生産も5.0%増と、前月(6.3%増)を下回った。幅広い投資動向を示す1~10月の都市部固定資産投資は前年同期比5.8%増と、1~9月(5.9%増)からわずかに鈍化した。
統計局の付凌暉報道官は記者会見で、コロナの感染拡大に触れ、サービス業をはじめ消費の一部が「一定の打撃を受けている」と指摘した。中国政府は今年の経済成長率目標を「5.5%前後」としているが、達成は不可能な情勢だ。