内閣府が8日発表した2022年1~3月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)改定値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.1%減、この成長ペースが1年続いた場合の年率換算では0.5%減となった。先月発表の速報値(前期比0.2%減、年率1.0%減)から上方修正。新型コロナウイルス感染拡大で低調だった個人消費が小幅ながらプラスに転じたが、2四半期ぶりのマイナス成長だった。
21年度は前年度比2.2%増(速報値は2.1%増)と3年ぶりのプラス成長。ただ、コロナ禍が直撃した20年度(4.5%減)からの回復の勢いは弱かった。
1~3月期は、GDPの半分以上を占める個人消費が速報段階の前期比0.03%減から0.1%増に上方修正された。自動車販売の落ち込み幅の縮小が主因。ただ、年明け以降の変異株「オミクロン株」流行で外食や宿泊などサービス消費の低迷が続いた姿は変わらない。
GDP全体が上方修正された要因は民間在庫だった。部品調達難などで輸送機械などの生産活動が停滞。製造途中の在庫が積み上がったことで、GDPの増減に与える影響(寄与度)が速報段階のプラス0.2%からプラス0.5%に拡大した。
一方、設備投資は前期比0.7%減(速報値は0.5%増)に下方修正。コロナ禍やロシアのウクライナ侵攻で先行き不透明感が強まる中、企業の投資への慎重姿勢が強まった。公共投資も3.9%減(同3.6%減)に下振れした。
輸出は速報段階と同じ1.1%増、輸入は3.3%増(同3.4%増)で外需全体では0.4%分のGDP下押し要因となった。
年率換算の実質GDP実額は538兆円で、コロナ禍前の19年10~12月期(541兆円)に3兆円届いていない。
物価変動の影響を反映し、生活実感に近い名目GDPは前期比0.2%増、年率0.6%増となり、速報値(前期比0.1%増、年率0.4%増)から上方修正した。
◇1~3月期のGDP改定値
◇実質成長率 ▲0.1 (▲0.2) 年率換算 ▲0.5(▲1.0)
◇寄与度 内需 0.3 (0.2)
外需 ▲0.4 (▲0.4)
◇主要項目
個人消費 0.1 (▲0.0)
住宅投資 ▲1.2 (▲1.1)
設備投資 ▲0.7 (0.5)
民間在庫 0.5 (0.2)
公共投資 ▲3.9 (▲3.6)
輸出 1.1 (1.1)
輸入 3.3 (3.4)
◇名目成長率 0.2 (0.1) 年率換算 0.6(0.4)
(注)カッコ内は速報値。数値は前期比伸び率%、寄与度は%。民間在庫は成長率への寄与度。▲はマイナス