内閣府が18日発表した2022年1~3月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.2%減、この成長が1年続いた場合の年率換算で1.0%減だった。マイナス成長は2四半期ぶり。新型コロナウイルス変異株の感染拡大に伴う「まん延防止等重点措置」の影響で、外食などの個人消費が振るわなかった。
原材料価格の上昇やロシアのウクライナ侵攻に伴って世界経済の先行き不透明感が強まっており、4~6月期以降の景気に逆風となる可能性がある。山際大志郎経済財政担当相は18日の記者会見で「景気の下振れリスクにしっかりと対応し、コロナ禍からの経済社会活動の回復を確かなものとする」と強調。4月に決定した物価高騰への「総合緊急対策」を着実に実行する考えを示した。
21年度の実質GDPは前年度比2.1%増と3年ぶりに改善した。20年度に4.5%減と戦後最悪の落ち込みを記録した反動で、消費や設備投資、輸出といった主要項目が軒並みプラスとなった。しかし、回復力は依然として鈍く、22年1~3月期の実質GDP実額は年率換算で537兆円と、コロナ前の19年10~12月期の水準(541兆円)に届いていない。
1~3月期の個人消費は、好調だった昨年10~12月期から一転し、前期比0.03%と小幅ながら減少。外食や宿泊、旅客輸送といったサービス消費が低調だった。住宅投資は、建築資材の高騰が響いて1.1%減と不振。公共投資は、東日本大震災からの復興に関連した大型工事が減ったことで3.6%減と落ち込んだ。
設備投資はガスタービンなどの汎用(はんよう)機械が伸びて0.5%増だった。内需全体ではGDPを0.2%分押し上げた。
輸出は自動車が持ち直して1.1%増と2期連続のプラス。一方、輸入はワクチンや携帯電話などの増加で3.4%増となり、外需全体では0.4%分のGDP下押し要因となった。
物価変動の影響を反映し、生活実感に近い名目GDPは前期比0.1%増、年率換算で0.4%増と2期連続のプラスだった。
◇2022年1~3月期のGDP速報値
◇実質成長率 ▲0.2 年率 ▲1.0
◇寄与度 内需 0.2 外需 ▲0.4
◇主要項目 増加率 寄与度
個人消費 ▲0.0 ▲0.0
住宅投資 ▲1.1 ▲0.0
設備投資 0.5 0.1
民間在庫 ― 0.2
公共投資 ▲3.6 ▲0.2
輸出 1.1 0.2
輸入 3.4 ▲0.6
◇名目成長率 0.1 年率 0.4
◇GDPデフレーター ▲0.4
(注)数字は%。民間在庫は寄与度のみ。GDPデフレーターは前年同期比でその他は前期比。▲はマイナス
◇2021年度のGDP速報値
◇実質成長率 2.1
◇寄与度 内需 1.4 外需 0.8
◇主要項目 増加率 寄与度
個人消費 2.6 1.3
住宅投資 ▲1.6 ▲0.1
設備投資 1.3 0.2
民間在庫 ― ▲0.0
公共投資 ▲9.3 ▲0.5
輸出 12.5 2.0
輸入 7.2 ▲1.2
◇名目成長率 1.1
◇GDPデフレーター ▲1.0
(注)数字は前年度比%。民間在庫は寄与度のみ。▲はマイナス