内閣府が9日発表した2021年10~12月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)改定値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比1.1%増、この成長ペースが1年続いた場合の年率換算では4.6%増となった。個人消費の伸びが縮小し、先月発表の速報値(前期比1.3%増、年率5.4%増)から下方修正された。プラス成長は2四半期ぶり。
ただ、22年1~3月期は、新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の爆発的な感染拡大で再びマイナス成長に陥る可能性が出ている。また、ロシア軍のウクライナ侵攻で原油など資源価格が高騰し、日本経済をさらに下押しするリスクが高まっている。
年率換算の実質GDP実額は540兆円で、コロナ禍前の19年10~12月期(542兆円)に2兆円余り届かない。21年度中にコロナ前水準の回復を目指す政府目標の達成は困難な状況だ。
GDPの半分以上を占める個人消費は速報段階の前期比2.7%増から2.4%増に下方修正した。いったんコロナ感染が落ち着き、持ち直した外食や鉄道利用の伸びが想定よりも小さかった。
内需のもう一つの柱である設備投資は、前期比0.3%増(速報値は0.4%増)で、ソフトウエア投資の増加幅の縮小が響いた。公共投資は3.8%減(同3.3%減)、輸出は0.9%増(同1.0%増)だった。
物価変動の影響を反映し、生活実感に近い名目GDPは前期比0.3%増、年率換算で1.4%増となり、速報値(前期比0.5%増、年率2.0%増)から下振れした。
21年通年の実質GDPは、前年比1.6%増。3年ぶりのプラス成長だが、コロナ禍が直撃した20年(4.5%減)からの回復の勢いは弱かった。
◆21年10~12月期のGDP改定値
◇実質成長率 1.1( 1.3) 年率換算 4.6(5.4)
◇寄与度 内需 0.9( 1.1)
外需 0.2( 0.2)
◇主要項目
個人消費 2.4( 2.7)
住宅投資 ▲1.0(▲0.9)
設備投資 0.3( 0.4)
民間在庫 ▲0.1(▲0.1)
公共投資 ▲3.8(▲3.3)
輸出 0.9( 1.0)
輸入 ▲0.4(▲0.3)
◇名目成長率 0.3( 0.5) 年率換算 1.4(2.0)
(注)カッコ内は速報値。数値は前期比伸び率%、寄与度は%。民間在庫は成長率への寄与度。▲はマイナス