小売業とメーカー、個人 それぞれに適したライブコマースのやり方とは
前回の記事では、ライブコマース自体の大まかな分類とその使い分け方についてご紹介しました。今回は、大きく3つに区分されるライブコマースのプレイヤーという視点から、それぞれ表現すべき情報の相性についてご紹介しましょう。
ライブコマースプレイヤーの3つの区分
主だったライブコマースのプレイヤーは、小売・メーカー・個人の3つに区分することができます。それぞれの区分ごとにライブコマースで獲得できるメリットと表現すべき内容が異なるため、ライブコマースを始める前にしっかりとその内容を把握し、相性を理解してから活用するようにしましょう。
①小売とライブコマース
ライブコマースは物販と“エンタメ”がミックスされた業態で、ライブそのものの楽しさと物を買うという実利の部分が結びつくため、小売はライブコマースに非常に向いている業種と言えます。
ここで言う“エンタメ”とは、魅力的な“人”か“場所”が重要な要素になります。実際の事例では、ハワイで行われたライブ配信が『ハワイに行く』という体験をバーチャルで再現することでエンタメ要素に繋がり大変人気でした。ハワイでのライブが難しくても、例えば食材を栽培している畑や、小売の実店舗などもエンタメ要素として活用することができます。
逆によくあるオフィスビルの会議室でのライブ配信では、場所としてのエンタメ感のメリットを得られないため、より魅力的な“人”を用意するか、コンテンツを充実させる必要があるなど、ライブコマースを成功させるためのハードルが高くなってしまいます。
特にライブコマースの演者を育成することは業界全体での課題となっているため、有利に働く“場所”を用意する方が成功確率も高まります。
なかでも小売店舗からの配信では、わざわざ時間をかけてお店に行くことなく、お店の雰囲気を体験しながら買い物ができるというバーチャルな体験が可能で、ライブコマースにも適しています。小売企業の場合、そういう場所をもともと持っていることが多く、例えばハンズ(HANDS)などは生活雑貨やDIY商品など多くのラインナップが充実しており、ネット上でバイヤーや専門家がそれぞれ商品説明を行うことで、店舗で接客を受けるのと同じ、もしくはそれ以上の体験を実現することができます。家にいながら店員よりもプロフェッショナルな説明を聞くことができるため、WEB接客としてライブコマースに成功している1つの例と言えるでしょう。
小売とライブコマースの相性が良い点はもう1つあります。基本的にはライブを見た人がネットで購入することを想定していますが、その一方で「このお店が面白そうだから」という理由で実店舗に足を運ぶきっかけにも繋がります。OMO(Online Merges with Offline、オンラインとオフラインの融合)と言われるような、お客様がネットや店舗での購入を自由に選べるという世界観を、ライブコマースを通じて作り上げることが可能になるのです。
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