ついに「b8ta」が日本に上陸! モノ・情報・体験を届ける「キュレーションメディア型店舗」への期待と課題
”ストーリーテリング”を重視する「ネイバーフッドグッズ」
さて、アメリカのキュレーションメディア型店舗のなかで、いま一番話題を集めているのが「ネイバーフッドグッズ(Neighborhood Goods)」という店です。現在、テキサス州に2店舗と、ニューヨークの人気買物スポット「チェルシーマーケット」にも店舗を構えます。
ここは、インスタグラムで人気のアパレルやコスメティックを主に取り扱う、いわば“インスタ映えするアイテムが集まるイケてるお店”的な打ち出し方をしています。ベータとの最大の違いは、商品を「ストーリーテリング」(各商品のコンセプトや開発側の想いなどを説明すること)できるスタッフを配置している点。店内の商品についてスタッフを介し顧客にフレンドリーに語りかけるというのが、ネイバーフッドグッズのコンセプトなのです。
商品の魅力を伝えるためのイベントやワークショップなども盛んに行うほか、専用アプリから商品を閲覧でき、説明が聞きたいと思ったら店員を呼び出すこともできます。これらの取り組みは、D2Cブランドが情報の伝わる経路や過程を大切にしていることに通じていると言えるでしょう。
キュレーションメディア型店舗が今求められる理由
こうしたキュレーションメディア型店舗はどんどん増えていますが、1つのビジネスモデルとして成立するものなのかはまだ定かではありません。ベータであればガジェット以外の製品は扱えるのか、ネイバーフッドグッズなら“ストーリーテラー”を担うスタッフの採用や教育をどうするのか、感度の高い都市部以外の場所でも成功できるのか、といったようにそれぞれに課題があります。
とはいえ、ここで押さえておきたいのは、キュレーションメディア型店舗が必要とされている背景です。
消費者の消費行動は、これまでの“漠然とした消費”から、“意味のあるものを買いたい”という流れに向かっています。しかし、情報過多にある現代では欲しい情報を見つけづらく、そのためインスタグラムのようなSNSを活用し、自分の興味の範囲内から情報を入手する人が増えています。これは、D2Cブランドにとっては届けたいメッセージが多くの人に思うように届かない状態と言えます。その打開策として出てきたのが、キュレーションメディア型店舗なのです。
これを1つの「広告」と捉えれば、消費者は知らないブランドと出会うことができ、ブランドはスケールアップするきっかけをつかめる。双方にとってメリットのある“媒体”になり得るのではないでしょうか。