中小企業でもECの翌日配送を実現できる『物流拠点の分散化』とは

望月 智之 (株式会社いつも 取締役副社長)
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 現在は、物流会社側が提供する在庫管理システムやそのほかのさまざまなシステムやの精度がかなり向上しています。倉庫内のオペレーションレベルも高まり、AI技術を活用して人手を介さずに自動で出荷できる状況も整ってきたため、拠点を分けるデメリットをほぼ解消することができるのです。

物流倉庫の働き方にも課題解決の糸口がある

 当社の事例として、EC業界における倉庫の働き方についてご紹介しましょう。

 物流倉庫といえば、かつては一般的に8時や9時に出社し、5時や6時に倉庫が閉まるというのがスタンダードでした。しかし、弊社の物流センターは2部制を採用しており、朝出勤と午後出勤のスタッフで構成され、夜の10時まで標準で稼働しています。

 他にも、自動梱包機は10年前には1台で億超えという時代もありましたが、今では12千万円程度で導入できるようになっており、出荷ラインという部分的な自動化は比較的実現しやすくなっているのです。

 どうしても「自動化」と聞くと大規模な投資を想像するかもしれませんが、出荷ラインの一部やRPARobotic Process Automation:主に人を介して行われていたPCの事務作業などを自動化する技術)など、倉庫作業の一部分を自動化することが主流です。

 こういったアプローチにより、出荷ラインの自動化やピッキングにかかる時間の大幅な削減が可能となり、倉庫の中をより効率的に運営することができるのです。

 このように、工場の2部制は大手企業だから組めるという戦略ではありません。最新技術を活用して業務効率化を図ることで、限られた人員でも人とシステムのバランスをうまく保ち、翌日配送を実現する企業が増えているのです。

 2024年問題で、これまで棚上げしていた物流の課題が表層化する中、消費者のニーズに答えて出荷スピードを向上させるためには、最新技術の活用方法を理解して、変化に対応していくことができるかどうかが重要なターニングポイントとなるでしょう。

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記事執筆者

望月 智之 / 株式会社いつも 取締役副社長
1977年生まれ。株式会社いつも 取締役副社長。東証1部の経営コンサルティング会社を経て、株式会社いつもを共同創業。同社はD2C・ECコンサルティング会社として、数多くのメーカー企業にデジタルマーケティング支援を提供している。自らはデジタル先進国である米国・中国を定期的に訪れ、最前線の情報を収集。デジタル消費トレンドの専門家として、消費財・ファッション・食品・化粧品のライフスタイル領域を中心に、デジタルシフトやEコマース戦略などのコンサルティングを手掛ける。ニッポン放送でナビゲーターをつとめる「望月智之 イノベーターズ・クロス」他、「J-WAVE」「東洋経済オンライン」等メディアへの出演・寄稿やセミナー登壇など多数。
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