事業本部制から機能本部制へ 大規模な組織改編を実施したビームスのEC強化戦略とは
販売部門がリアル店舗とECを一括管理
ビームスは2021年9月、販路がリアル店舗とネットの二頭立てになった前提で、大掛かりな組織改編に踏み切った。その中で、現在約30あるレーベル(ブランド)をベースにした事業部制から、機能をベースにした体制にシフトしたのだ。
具体例で言えば、レディース向けの「ビームスボーイ」なら、これまでレーベルを統括する事業部門が商品企画から店頭販売、ECまで一気通貫で管理していた。ところが、新組織では、商品企画部門がビームスボーイの企画や仕入れを担当し、商品販売やカスタマーマーケティングを担当する部門でリアル店舗やECサイトでの販売全般を担うことになる。
「“お客さまファースト”で考えた場合、ECとリアル店舗を分けて管理することは時代に合わない。しっかり土台を固める必要があった」(渡部氏)
例えば、商品の企画や仕入れは「プロダクト本部」、商品販売は「カスタマーエンゲージメント本部」が担当する。カスタマーエンゲージメント本部は、さらにチャネルによって、リアル店舗を担当する「ストアマネジメント1~4部」、自社EC担当の「デジタル部」、他社EC担当の「デジタルアライアンス部」(ZOZOTOWNなどを担当)などに分かれるという。
組織改編によって、モノづくりと販売の担当者が離れ離れになり、ブランド管理がしにくくなるといったデメリットもあった。しかし、各ブランドに横串を刺し、各機能部門の担当者が一括管理できるようになったことで、販売部門では顧客ロイヤリティを測る指標に向上が見られるといったメリットも生じているという。