ECの売上を増大させるために必要な「トランザクション・モーメント」の活用法を解説!

山中 理惠 (Rokt 日本代表)
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ECでも顧客体験のパーソナライズが重要

 実店舗の場合、店員はお客さまの様子やニーズを伺いながら適切なサービスや顧客対応を提供することができますが、ECの場合、そういった個人的な購買体験は作り出しにくいもの。しかし、ECが大きく成長している昨今、オンラインストアもテクノロジーを駆使し、お客さまの購買体験をパーソナライズする方法を検討しなくてはなりません。

 成功しているEC企業は、実店舗と同じように、個客に最適なオファーを提供することを重要視しています。顧客体験のパーソナライゼーションは、エンゲージメント率およびコンバージョン率アップはもちろん、顧客ロイヤルティと満足度の向上にもつながります。

 DMEXCOでの対談でも、「顧客への対応を通じて価値を生み出すには、顧客へのパーソナライゼーションと関連性の向上に注力するしかありません」との発言がありました。フォレスター・リサーチ社の2020年報告書でも、適切なパーソナライゼーションを行うことで、企業は顧客の85%に対しLTV(顧客生涯価値)の向上が期待できる一方、適切なパーソナライゼーションができない場合、顧客の45%に購入中止やブランドスイッチが生じるとしています(図②)。

図②関連性の高いパーソナライゼーションがもたらすもの
図②関連性の高いパーソナライゼーションがもたらすもの

 また、「選択のパラドックス」に関する研究では、消費者は選択肢が多すぎるとストレスを感じやすいことが指摘されています。多くの企業は、より幅広い製品やサービスを提供すれば、その業界のトップになれると考えがちですが、消費者行動に目を向けると実はそうではないことに気づきます。企業は消費者に対し、少数の厳選されたメッセージだけを発信すべき。だからこそ、その一つひとつがお客さまにとって関連性のあるものでなくてはならないのです。

 関連性の高いオファーでパーソナライズされた体験を提供することは、EC事業者にとって、1人ひとりのお客さまを大切にする企業の姿勢を示す方法でもあるのです。

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記事執筆者

山中 理惠 / Rokt 日本代表
グローバルITベンダー、大手コンサルティングファームを経て、複数のスタートアップ企業のGTMやマーケティング戦略に携わる。その後、ITからいわゆるDXにフォーカスを絞り、デジタルマーケティングの初期からSEMやソーシャルメディアの拡大に関わる。2018年から、Rokt(ロクト)の日本代表として国内市場立ち上げと拡大を担う。
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