規模の利益を生み出すため、機能と人材を強化する=原信ナルスHD 原 和彦 社長
今年10月にフレッセイホールディングス(群馬県/植木威行社長)と経営統合することを発表した原信ナルスホールディングス(新潟県/原和彦社長)。経営統合により、売上規模2000億円の食品スーパー(SM)が誕生する。アクシアルリテイリングに社名も変更し、新たなスタートを切る。経営統合で、どんな企業をめざすのか。原社長に聞いた。
統合準備委員会で、互いの現状を把握
──今年10月の経営統合に向けた準備作業の進捗状況はいかがですか。
原 この経営統合は、互いの独自性を尊重しながらも、両社でメリットを追求していくこと。そして、それを行うにあたっての経営の根幹にTQM(トータル・クオリティ・マネジメント)を据えることを植木社長と確認し合いました。それに基づいて今、統合の準備作業を進めているところです。
「統合準備委員会」を5月の連休前に立ち上げ、これまでに4回ほど会合を持ちました。経営統合でメリットは生み出していきますけれども、メリットありきで進めてしまうと、あとあと綻びが出てこないともかぎりません。ですから、まずは互いをしっかり知ろうということで、現状把握を行っているところです。
──統合準備委員会では、どのような活動をしているのですか。
原 おもに執行役員や部長クラスが、両社それぞれ20人前後、総勢40~50人集まっています。商品、財務、人事などいくつか部会を持ち、情報交換をしています。
これから、経営統合のメリットを生み出していくにあたって、それぞれの部署単位では判断できない問題があります。会社としての考え方はどうなのか、あるいは将来を考えた場合にどう判断したらいいのかといったことが、部署単位で出てきます。それをきちんと判断するというのも統合準備委員会の機能になります。
──互いに現状を把握して、どのような印象を持ちましたか。
原 やっていることは両社とも、大体同じなのですが、細かい部分になるといろいろ違ってきます。たとえば、マスターの持ち方一つとっても違います。商品の原価の突き合せをしようとしても、リベートなどの条件があったりしますから、単純にマスター上の原価だけ突き合わせても、正確に比較することは難しいのです。
独自性を尊重しながら、メリットを生み出していくというのは、じつは非常に難しい。合併の場合は、どちらかの会社の仕組みに一本化すればいいでしょう。
しかし、われわれの場合は、合併とは違います。純粋持ち株会社の下に各事業会社がぶら下がる形です。それぞれの持ち味や考え方を尊重しながらも、メリットを生み出していこうというものです。合併のほうが、作業としてはラクかもしれません。合併と勘違いする人も多いのですが、合併とはまったく違うものです。