米雇用、9月は66.1万人増に減速 失業率7.9%に低下

ロイター
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米フロリダ州のレストラン
2日、米労働省が発表した9月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比66万1000人増となった。写真はフロリダ州で5月18日撮影(2020年 ロイター/Marco Bello)

[ワシントン 2日 ロイター] – 米労働省が2日に発表した9月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比66万1000人増となった。伸びは前月の148万9000人から大幅に減速したほか、予想の85万人も下回った。新型コロナウイルス感染が再拡大する中、政府支援策も薄れており、多くの人が恒常的に失業状態に置かれる恐れが高まっている。

9月の雇用の伸びは新型ウイルス感染拡大の衝撃から労働市場が回復を始めた5月以降で最小。コロナ禍の打撃で3、4月に失われた約2220万人の雇用を回復するには、なお長い道のりとなる可能性が示唆された。

景気回復支援に追加の財政刺激策が必要であることが改めて示され、雇用回復の減速は、新型コロナの陽性反応が確認されたばかりのトランプ大統領にとっては問題となる。

雇用者数は6月に478万1000人増加した後、鈍化傾向が続いており、コロナ禍前の水準と比較すると、なお1070万人もの雇用が失われている。

INGのチーフインターナショナルエコノミスト、ジェームズ・ナイトリー氏は「雇用統計がトランプ氏のコロナ陽性発表に加わった。賭け屋のオッズでは、トランプ氏が再選される可能性が低下し、民主党が大統領選に加え議会選でも勝利する可能性が上昇したことを示唆している」と述べた。

失業率は7.9%と、8月の8.4%から改善。予想は8.2%だった。しかし、コロナ禍で発生した「雇用されているが休職中」の人の扱いが引き続きデータのゆがみとなっており、こうしたゆがみを除くと、失業率は約8.3%だった。

失業率の人種格差は5.1%ポイントと、5カ月ぶりに縮小した。黒人の失業率は前月比0.9%ポイント低下の12.1%、白人の失業率は0.3%ポイント低下の7.0%だった。昨年8月時点の格差は、過去最低の2%ポイントだった。

また、9月時点で27週間以上の失業者数は240万人と、78万1000人増加した。

時間当たり平均賃金は前月比0.1%増。予想は0.2%増だった。労働参加率は前月の61.7%から61.4%に低下。女性が56.1%から55.6%に低下した。

モルガン・スタンレーのエコノミスト、ロバート・ローズナー氏は、「自宅で授業を受ける生徒の増加したことで、労働力率の低下圧力が高まっている可能性がある」と述べた。

民間部門の雇用者数は政府関連を除き全ての業種で増加した。政府は21万6000人減。国税調査に絡む臨時採用終了に加え、コロナ流行を背景に多くの学校がオンライン授業に移行する中、州・地方政府の教育関連職員がレイオフとなった。

娯楽・ホスピタリティーは31万8000人増と、全体の増加分の約半分を占めた。

ロヨラ・メリーマウント大学(ロサンゼルス)の金融・経済学教授、ソン・ウォンソン氏は「政府支援策が大きく縮小したことが一部要因となり、回復ペースは鈍化し続けている。レイオフや企業破綻が増えており、新たな政府支援策が導入されるまで、雇用の減少は続く」との見方を示した。

大手企業は人員削減計画を示しており、失業者が今後増加する公算は大きい。ウォルト・ディズニーは今週、米国のテーマパーク部門を中心に約2万8000人を削減すると発表。アメリカン航空とユナイテッド航空も、政府による航空業界支援策の失効に伴い、計3万2000人超の人員削減に着手する方針を示している。

雇用統計の発表は11月3日の米大統領選挙前では今回が最後。雇用問題は残りの選挙戦で一つの大きな論点になるとみられる。

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