経営破綻の米ニーマン、債権者のファンドが競合社との統合要求=文書
[12日 ロイター] – ヘッジファンドのマドリック・キャピタル・マネジメントは12日、経営破綻した米高級百貨店ニーマン・マーカス・グループの独立取締役に対し、競合するサックス・フィフス・アベニューとの統合を模索するよう求めた。ニーマンが目指す経営再建に異議を唱えた格好となった。
ニーマンの債権者に名を連ねるマドリックの弁護士は独立取締役に書簡を送り、サックスに対する身売りや合併は、返済順位が高い債権者への経営譲渡と再建から成る現在の計画に比べ、債権者がより多くの資金を回収できると指摘。ロイターは書簡を閲覧した。
ニーマンは先週、連邦破産法第11条の適用を申請した。新型コロナウイルス感染拡大に伴う店舗閉鎖が響いた。
書簡は、ニーマンとサックスによる経営統合は28億─47億ドルの価値を創造すると指摘。ニーマンが破産手続きによって、サックスの百貨店と地理的に近いあるいは重複する22以上の店舗を完全に閉鎖することでこの価値が達成できるとした。店舗閉鎖を含むコスト削減策で統合後の会社の利益押し上げが可能になるとの見方も示した。
ロイターはこれまで、サックスを保有するカナダのハドソンズ・ベイが2017年にニーマンの買収を検討したが、実現しなかったと報じている。
マドリック、ニーマン、ハドソンズ・ベイはコメントを控えた。
ニーマンは、約40億ドルの債権放棄の見返りに優先債権者に経営権を譲る計画について、大半の債権者と交渉を進めてきた。優先債権の大部分を保有するのは投資会社のパシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)、シックスス・ストリート・パートナーズ、デビッドソン・ケンプナー・キャピタル・マネジメント。ニーマンの債務は全体で約50億ドルに上る。
PIMCOなどからコメントは得られていない。
これらの投資会社はニーマンに対し、6億7500万ドルのつなぎ融資も提供している。マドリックはつなぎ融資に反対していたが、裁判所が暫定的に承認した。
ニーマンが現在の再建計画の代わりに身売りを模索するには、優先債権者の同意が必要になるとみられる。