価格訴求から価値提案にシフト?「岡崎エルエルタウン店」で見られたロピアの進化

調査・文:榎本 博之(経営コンサルタント事務所 アズライト代表)
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ここ数年、年間10店舗を超える怒涛の出店で攻勢をかけるロピア(神奈川県/髙木勇輔代表)。直近で目立つのが中京エリアへの出店だ。本稿では、中京エリアの最新店(調査時)である「ロピア岡崎エルエルタウン店」(愛知県岡崎市:以下、エルエルタウン店)の売場を調査し、地域へのマッチングやアピール、スピード感のある出店を実現させる原動力と今後の展開などについて考察してみたい。

わずか2年半で中京11店舗体制に

 ロピアは2022年5月の「ロピアモレラ岐阜店」(岐阜県本巣市:以下、屋号は省略)のオープンを皮切りに中京エリアへの出店を強めており、わずか2年半で愛知5店舗、岐阜5店舗、三重1店舗の中京11店舗体制を構築している(24年10月末時点)。

 今回、調査対象としたのは、調査時における中京エリアの最新店「岡崎エルエルタウン店」(2024年9月オープン)だ。地場ショッピングモール「エルエルTOWN」内に入る店舗で、24年2月に閉店した「バロー上和田店」跡に居抜き出店した。岡崎市には、エルエルタウン店オープンの約2カ月前に、「岡崎インター店」を出店したばかり(24年7月オープン)。2店舗によるドミナントで一気にシェアを奪取する構えだ。

ロピア岡崎エルエルタウン店
ロピア岡崎エルエルタウン店 概要
所在地:愛知県岡崎市上和田町南天白5-1
開店日:2024年9月6日
営業時間:10:00~20:00

 エルエルタウン店では、生鮮と総菜が一体となったおなじみの売場レイアウトを採用し、ワンウエイコントロールではなく回遊性向上を重視した、全体的にゆったりとした売場としている。天井から吊り下げられた装飾物はこれまでより小型かつ控えめで、陳列のボリュームは奥まで見渡せるように高さをコントロールしており、従来の店舗よりもすっきりとした印象を与えている。

 最近の出店では、生鮮と総菜が一体となったレイアウトが主流であり、総菜を生鮮売場の間に配置して、鮮魚・寿司などと関連性を高め、買いやすく選びやすい売場としていることが多い。奥側壁面では、壁面に沿って冷蔵ケースを配置し、日配売場をまとめている。店舗中央部にはグロサリー、菓子、酒類、冷凍食品を配置。近年の需要拡大に対応し、冷凍食品の売場スペースを広く確保している。

価格訴求は控えめ?「提案」の仕掛けが随所に

 青果は他部門よりも間口を広く取り、十分なスペースを確保し、ボリューム陳列でインパクトのある売場となっている。売場トップでは、他店との差別化を意識してか、果物を豊富に揃え、正面右側にシャインマスカットを中心としたブドウ類、左側に梨類を配置していた。ロピアの青果の特徴は果物の品種の多さで、エルエルタウン店では梨の大玉サイズをサイドエンドで目立たせていた。果物のトップ陳列はロピアの標準的な手法であり、店舗イメージ形成と認知度向上に一役買っている。

 野菜については、相場高騰を考慮しつつも、価格よりも価値を重視した品揃えとしている。正面左側の冷蔵ケースの先頭では、高糖度トマトをコーナー化し、400円前後で販売。キャベツなどの売り込み商品では価格訴求が見られたが、そのほかの定番商品では割安感を意識した展開はほとんど見られなかった。

エルエルタウン店では価格よりも価値を重視した提案が随所で見られた。写真は青果売場で販売していた高糖度トマト(100g199円)
エルエルタウン店では価格よりも価値を重視した提案が随所で見られた。写真は青果売場で販売していた高糖度トマト(100g199円)

 一方、「提案」を意識した仕掛けは随所に見られた。たとえば、

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