「ワンカップ®大関」発売60周年!大関、長部訓子社長が語る 、今期のマーケティング戦略
「ワンカップ®大関」が発売60周年の節目を迎えた大関。食の多様化に伴い日本酒離れが加速するなか、日本酒メーカーとしてどのような施策を打つのか。長部訓子社長に日本酒業界の市場環境と今期のマーケティング戦略をきいた。
日本酒の新たな飲み方積極的に提案!
──直近の日本酒業界を取り巻く環境をどのように見ていますか?
長部 ロシア・ウクライナ情勢をはじめとした外的要因に基づく昨今の物価高を背景に、政府はさまざまな対策を行っていますが日銀による利上げ決定後、為替や株式相場に大きな動きが見られ、生活者にとっても不安定な状態が続いています。われわれ、酒造メーカーも物流や原材料コストの増加が直接商品の価格に影響するため、消費とのバランスを考えながら慎重にビジネスを進める必要があると考えています。
一方、コロナ禍が明けたことでインバウンド需要についてはコロナ前の水準を超え、好調に推移しています。来年は大阪・関西万博も控えていることから、関西方面への訪日観光客の増加が見込まれ、当社にとっても追い風になることを期待しています。
──厚生労働省が公表した「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」について、どのような対応を考えていますか?
長部 このガイドラインによって、日本酒に限らずアルコール飲料全体の飲まれ方にある程度影響があると考えています。
日本酒業界では製配販3層からなる「日本酒需要創造会議」が今春発足し、炭酸割りによる「日本酒ハイボール」など、新たな飲み方提案を積極的に仕掛けています。メーカー各社も低アルコール商品の開発に力を入れており、当社としても飲み方提案含め、幅広い年代の方に日本酒のおいしさを知って頂くきっかけづくりを今一度考える必要があると思っています。
──家庭用の日本酒の消費動向についてはいかがですか?
長部 新型コロナウイルスが5類に移行したことで、外飲みを含めた消費者のライフスタイルはコロナ以前に戻りつつあるものの、昨今の物価高の影響もありコストパフォーマンスを考え、家飲みを選択する消費者も一定数残ると思っています。容量別でみると中小容量瓶商材が好調で、香り系やフルーティな味わいの吟醸、大吟醸がライト層やトライアル層に好まれているようです。依然好調なパック酒などの経済酒は、最需要期である冬場に向け、さらにマーケティングを強化していきます。