年末商戦を活性化する攻めの売場づくりと利益の残し方
食品スーパー(SM)の青果売場の年末商戦は年々売れなくなっているといわれている。従来型の売り方から脱し、生活シーンの変化に対応した新たな売場をつくることが必要だ。私の経験を基に、そのヒントとなる視点をいくつか提案しよう。
おせちの素材しか販売していないSM
年末商戦を迎えるに際して、私がSMに勤務していた時代は「正月とは何か」から考えた。
SMでは伝統的に売れているメニュー、たとえばおせち料理がどんな素材を使って仕上がっているかを理解していない人が多い。金時ニンジンやヤツガシラなどこの時季しか登場しない野菜もある。それらを含めた野菜がどんなメニューのどんな位置づけで入荷してくるのかをまず勉強した。伝統的なメニューについて考えてみることは必要だ。
SM業界では、年末商戦はダウントレンドにあるといわれる。だが、私はそれは違うと思う。
正月の過ごし方が多様化しているだけだ。かつてはおせち料理を年末に家庭で手づくりしたものだが、今はおせちセットを購入することが主流になっている。
それなのに青果売場ではいまだにサトイモなど伝統的なメニューの素材しか販売していない。生活シーンが多様化し、ニーズが変化しているのに、これでは年末商戦の売上が年々縮小するのは当然だ。
伝統的な野菜は基本なのでベースとして展開する。だがお客さまの生活シーンが変わっているのだから、それに合わせて商売を変化させないといけない。
一つは若い世代に向けた提案だ。彼らはカウントダウンパーティーなど大みそかに集まって友達同士で年越しパーティーをする。おせちは食べない。洋食化も進んでいる。それに沿って、どんな新たな提案ができるかがカギになる。
年末だけの際物を戦略的に仕掛ける
年末商戦を成功させるカギとなるのは、