原材料高騰でも…銀座コージーコーナーが西日本に積極出店する理由
2023年に創業から75周年を迎えた銀座コージーコーナーは、首都圏を中心に店舗展開する洋菓子専門店チェーンとして、ファミリー層からシニア層まで、幅広い顧客層に親しまれてきた。コンビニエンスストアのほか、近年は食品スーパーも各種デザート商品の強化に乗り出しており、スイーツを巡る競争は激しさを増している。調達環境も厳しさを増す中、「お客さまに寄り添える商品を届けたい」と語る代表取締役社長の船田知秀氏に、同社の出店戦略・商品戦略とスイーツを取り巻く事業環境について聞いた。
全国約420店舗!九州エリアでの出店に意欲
2024年6月現在、銀座コージーコーナーの店舗数は約420店舗。近年は年間約20店舗のペースで新規出店を重ねており、今期(2025年3月期)も例年並みの出店を計画しているという。
首都圏では高い認知度を誇る同社だが、それ以外、とくに西日本ではまだ出店余地が残されている。24年6月からは、九州エリアにおいて、出店の加速に伴い、協力工場での製造を開始した。
店舗の過半数が位置する首都圏エリアは、老朽化した店舗もあれば、人流の変化で集客に影響があった店舗もある。古い店舗を改装したり、リロケーションしたりしながら、駅ナカをはじめとした、アクセスや利便性の良い土地へ積極的に出店している。一方、地方では、総合スーパー(GMS)や食品スーパーと組み、「人の集まりやすい場所」への出店を強化。船田社長は、「おかげさまでパートナー企業さまからもよい評価をいただき、相乗効果を発揮できている」と手応えを語る。
店舗面積約15坪を標準とし、対面による丁寧な接客を強みとする同社だが、最近は新たな試みも始まっている。それが、東京都江東区の「銀座コージーコーナー東陽町店」で実験的に導入した自動販売機だ。店舗前に「スイーツ自販機」を設置し、銀座コージーコーナーの看板商品の1つでもある「ジャンボシュークリーム」のほか、エクレアやフィナンシェなどを販売している。
この取り組みについて、「店舗が閉店している時間帯の利用が多いと予想していたが、時間帯別の売上高を見ると、開店時間帯と閉店時間帯とでほぼ半々だった。しかも、開店時間帯の店舗の売上は落ちていない」と船田社長は話す。「『フルサービスの店舗には入りにくい』という印象を抱くお客さまもおられるのだと発見があった。今後の出店では、自動販売機の併設を含め、手軽さという観点も取り入れながら店づくりをしたい」(船田社長)とし、今後は設置店舗の拡大を検討していく考えだ。