【NRF APAC】リテールメディア市場を成功に導くためのポイントと課題とは

文:松岡 由希子 (フリーランスライター)
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NRF APAC2024ではリテールメディアについてのセッションが2つあった。そのうちの1つ、元コカ・コーラのグローバルオムニチャネル担当バイスプレジデント、サイモン・マイルズ氏の講演「グローバル・リテールメディア」を語り下ろし形式でお届けする。リテールメディアを成功に導くための洞察が得られる。

イノベーションが加速する3つの領域とは

 消費者の購買行動の変化に伴って価格志向が強まり、食品小売業の利益を圧迫している。米デロイト(Deloitte)によると、欧州の食品小売業の利益率は平均1.6%だ。

サイモン・マイルズ氏
講演を行う元コカ・コーラのグローバルオムニチャネル担当バイスプレジデント、サイモン・マイルズ氏

 そこで近年、小売業界では、利益率の低い本業外での「新たな収益源」としてリテールメディアに取り組む動きが活発になり、より複雑化してきた。米アーカンソー大学(University of Arkansas)の研究結果によると、米国ではすでに約600ものリテールメディアネットワーク(RMN)が存在する。

 リテールメディアの領域でとくにイノベーションが加速しているテーマとして、「インストアディスプレイ」「コネクテッドTV」「RMNの内製化」が挙げられる。

 北米や欧州を含む多くの地域では、依然として顧客の8~9割が実店舗を利用している。それゆえ、店舗のデジタル化が著しく広がってきた。店内のあちこちにデジタルサイネージが設置され、セルフスキャン端末やレジ、エンド、試供品を配布する専用ステーションなどのディスプレイもデジタル化がすすむことで、メディア機能が店舗体験に組み込まれている。

 また、スマートテレビやスマートフォンなどのデバイスに表示される広告である「コネクテッドTV広告」の市場規模は拡大しており、今後さらに成長する見込みだ。米国での市場規模は2022年時点の211億6000万ドル(3兆2798億円:1ドル=155円で換算)から26年までに

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松岡 由希子 / フリーランスライター

米国MBA 取得後、スタートアップの支援や経営戦略の立案などの実務経験を経て、2008年、ジャーナリストに転身。食を取り巻く技術革新や次世代ビジネスの動向をグローバルな視点で追う。

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