インバウンドで業績復活!上場百貨店決算2024分析
コロナ禍で甚大な被害を受けた百貨店の業績が回復に向かっている。経済正常化による人流回復、インバウンド需要の復活、高額商品の販売好調などにより、上場百貨店の2023年度決算は軒並み好調で、上位5社とも増収で着地。過去最高の売上・利益を記録した企業も存在する。
上位5社すべてが増収!インバウンド復活、高額品好調で完全復活へ
日本百貨店協会の発表によると、2023年の全国百貨店売上高は対前年比9.2%増の5兆4211億円だった。コロナ禍前の19年の比較では、5.8%減と完全回復まであと一歩というところにまで迫っている。商品カテゴリー別の売上高では、「衣料品」が対前年比10.1%増、「雑貨」が同11.4%増と2ケタの伸びを示し、「食料品」も同3.0%増と伸長した。
上場百貨店の23年度決算は、一部の地方百貨店をのぞいたほとんどの企業が増収増益となった。社会経済活動の正常化による国内客の入店客数増加とインバウンド売上の好調が追い風となった。各社は高額商品の充実や外商強化など富裕層向けのビジネスを強化するとともに、インバウンド需要獲得を見据え、さらなる成長に向けた施策に取り組んでいる。
H2Oグループ食品事業の粗利率改善
売上トップのエイチ・ツー・オー リテイリング(大阪府:以下、H2O)の24年3月期の連結業績は、営業収益が対前期比4.7%増の6574億円、営業利益が同130%増の261億円と、いずれも過去最高を更新した。主力の「百貨店事業」の総額売上高は同17.3%増の5771億円、営業利益は同109.6%増の215億円と、コロナ禍からの回復に伴う客数の増加と高額商材の好調により売上・利益ともに大幅に伸長した。
水際対策の大幅な緩和による訪日客増加と、円安効果による単価上昇で、インバウンド売上高も18年度の406億円から今年度は802億円に達し、約2倍に伸長した。
なかでも「衣料品」「化粧品」の売上高は前期比2ケタの伸びとなった。
関西スーパーマーケット(兵庫県)、イズミヤ・阪急オアシス(大阪府)などからなる「食品事業」も総額売上高が同2.3%増の4256億円、営業利益が同44.9%増の79億円と増収・増益を果たした。客単価上昇による売上伸長に加え、イズミヤ・阪急オアシスの事業改革効果、関西スーパーマーケットの粗利益率改善などが奏功した。
なお、H2Oは
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