上場小売業2023年度決算徹底分析!インフレで業績明暗!

文:小野 貴之 (ダイヤモンド・チェーンストアオンライン 副編集長)
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小売業の2023年度決算(23年4月~24年3月に迎えた本決算)では、主要7業態がすべて増収、本業の“稼ぐ力”を示す営業利益では5業態が増益となった。一部の業態で巣ごもりの反動減や耐久消費財の販売不振などのマイナス影響が見られたものの、インフレによる単価上昇、経済正常化に伴う人流の回復、インバウンドの復活などが追い風となり、全体でみれば好業績となった企業が多かった23年度決算。各業態・各指標のランキングはどのように変化したのだろうか。

7業態中5業態が増収・営業増益!

百貨店
インバウンドの復活などが追い風となり、百貨店は7業態で唯一、営業収益が2ケタの伸びと好調だった。(winhorse/i-stock)

 小売各社の業績を主要業態別にまとめたのが図表❶だ。

 2023年度の小売業決算は、業態ではっきりと明暗が分かれた。増収・営業増益となったのは主要7業態のうち、食品スーパー(SM)、総合スーパー(GMS)、ドラッグストア(DgS)、コンビニエンスストア(CVS)、百貨店の5業態。とくに百貨店は7業態で唯一、営業収益が2ケタの伸びと好調だった。

 コロナ禍で業績低迷が続いた百貨店だが、23年度は新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが季節性インフルエンザなどと同等の「5類感染症」となったことで人流が大きく回復。行動制限緩和に伴うインバウンドの復活、資産効果による高額商品の販売好調なども追い風となって、過去最高業績を更新した企業も見られた。

 百貨店と同様に、コロナ禍で大打撃を受けたGMSも業績が回復しており、営業利益は前年度から2ケタの伸びを示している。CVSも人流活発化を背景に大手3チェーンの業績が好調に推移し、業態合計も増収・営業増益となった。

 また、前年度は水道光熱費の高騰、仕入れ価格の上昇により、とくに利益面で苦戦したSMも23年度は復調。水道光熱費、人件費など前年度に続きコスト高に見舞われたものの、インフレ下で価格転嫁が比較的順調に進んだこともあって、好決算が相次いだ。近年、成長を続けるDgSの業績も堅調に推移し、増収・営業増益となっている。

 一方、残るホームセンター(HC)と家電量販店の2業態は

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小野 貴之 / ダイヤモンド・チェーンストアオンライン 副編集長

静岡県榛原郡吉田町出身。インターネット広告の営業、建設・土木系の業界紙記者などを経て、2016年1月にダイヤモンド・リテイルメディア(旧ダイヤモンド・フリードマン社)入社。「ダイヤモンド・チェーンストア」編集部に所属し、小売企業全般を取材。とくに興味がある分野は、EC、ネットスーパー、M&A、決算分析、ペイメント、SDGsなど。趣味は飲酒とSF小説、カメラ

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