45年間黒字経営のカーショップに見る顧客満足度の高め方
求められる顧客満足度を高める店づくり洗車機導入で来店頻度向上を図る
競争が激化するなか、新たなサービスや商材を取り入れ、顧客満足度の向上や集客力の強化を図る小売業者が増えている。その一例として、洗車機を導入したカーショップに足を運び、その取り組み、ねらいなどをレポートする。年々、経営環境が厳しさを増す、ホームセンター(HC)企業にとっても参考にもなるはずだ。
45年間黒字経営のカーショップ
今回、取り上げるのは富山県内でカーショップを展開するピューマ(富山県/増川智社長)である。
1973年、高岡市に「カーショップ高岡ドライブ」を設立したのが同社の起こり。
80年、オートバックス(現オートバックスセブン)とFC契約を締結後、県内で店舗網を拡大。現在、オートバックスセブンの関連会社となっている。
大型店の「スーパーオートバックス」、レギュラー店の「オートバックス」さらに、売場面積30~40坪の小型店など、合計10店がある。
同社の特徴は、「トータルカーライフ提案企業」を経営コンセプトに掲げ、クルマに関連した商品、サービスを総合的に扱っている点にある。
主力のカー用品を主軸としながら、新車、中古車、中古・アウトレットのカー用品を販売するほか、板金・板金も行う車検工場、ガソリンスタンドなども手掛けており、消費者にとって利便性の高い店づくりを工夫する。
また顧客ニーズに応える品揃え、店づくりを通じた、地域密着型の店舗運営により、各地で強い支持を獲得。これによりピューマは、会社設立以来、実に45年間、黒字経営を続けている。
商圏内での競争激化のなか同社では、購買頻度の高い商品は価格訴求する一方、品揃えや接客を充実して競争力向上を図る。さらに近年、新たなサービスを付加することにより、顧客満足度や集客力強化をめざしている。
その方針のもと同社が近年、力を入れているのが洗車機の導入だ。近年では2017年に砺波店(砺波市)で取り入れた後、今年3月には小杉店(射水市)、今年10月には富山北店にも設置した。
ピューマ取締役の髙嶋栄治氏は、「導入した店はどこもお客さまから好評を得ており、手応えを感じている。今後も、徐々に広げていきたい」と話す。
「チャレンジ店」での新たな試み
新たなサービスを付加する方針のもと、洗車機の導入を進めるピューマ。その取り組みの実際を確認するため、直近に設置した富山北店に足を運んだ。
富山北店のオープンは99年。JR富山駅から直線距離で東北東4・2㎞に位置する。国道41号線に面し、さらに北1㎞には北陸の大動脈、国道8号線が東西に走っており、クルマでのアクセスが非常に良好である。
遠隔地からの来店も期待できる立地だが、基本商圏に設定するのは半径5㎞圏。周辺は富山市中心部からも近いため、近年はベッドタウンとして発展してきた。高齢化も進む一方、40~50歳代の比較的多く居住、カーショップにとり優良なマーケットが広がる。
さて富山北店は、同社の「チャレンジ店」と位置づけられる店舗だ。
これまで、手洗い洗車サービスや新車・中古車販売を始めたのも富山北店が最初で、そこから他店にも横展開していった。
洗車機については富山北店が後になるが、今回も新たなチャレンジがある。従来、設置してきた砺波店と小杉店は、いずれもガソリンスタンドを備えている。しかし富山北店は、ガソリンスタンドを設けていない店舗へ洗車機を取り入れた、同社にとって初めてのケースだからだ。そのねらいは、来店頻度の向上。会員カードの購買データを分析すると、カーショップの来店頻度は年2~3回。つまり買物に来るのは4~6か月に1度という計算だ。これに対し、洗車機を設置している既存店は、1~2か月に1度の利用があるという。
髙嶋氏は「ガソリンスタンドを併設していない店舗でも、洗車機を入れると来店頻度が上がり、集客力が強化されるのではないかと考えている」と明かす。