なぜ店舗数はそのままで角上魚類は売上高を増やすことができるのか?栁下浩三会長が語る!

聞き手:大宮 弓絵 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
構成:松岡 由希子 (フリーランスライター)
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角上魚類ホールディングス(新潟県:以下、角上魚類HD)が展開する鮮魚専門店「角上魚類」は、“魚離れ”が叫ばれるなかでも成長を続ける高い競争力で、多くの食品スーパー(SM)業界関係者から注目を集めている。コロナ禍でも店数を増やさずに売上高を50億円近く伸長させた。そんな同社では新たな成長をめざし組織改革を推進中だ。そのねらいと今後の成長戦略を柳下浩三会長兼社長に聞いた。

コロナ禍で魚総菜が伸長、なかでも弁当を拡充

──直近の業績はいかがですか。

角上魚類ホールディングス代表取締役会長兼社長 柳下 浩三
柳下 浩三(やぎした・こうぞう)
●1940年新潟県寺泊生まれ。実家は江戸時代からの網元兼卸問屋。県立新潟商業高校卒業後、実家を手伝うが、沿岸漁業の縮小や食品スーパーの台頭により卸売業を廃止し、鮮魚小売店として創業。現在は角上魚類ホールディングス代表取締役会長兼社長。関東信越に22店を展開している。趣味はプロ野球観戦。阪神タイガースファン

柳下 コロナ禍での内食需要の拡大に伴って、業績は好調に推移しています。2020年度は客数と買い上げ点数がともに増え、売上高が対前年度比11.6%増の394億円に、21年度はさらに同1.7%増の401億円となりました。コロナ前の19年度との比較では売上高を約48億円積み増すことができています。

 商品カテゴリー別では、これまで主力であった寿司や刺身に加え、魚総菜が大きく伸びました。

──コロナ禍での消費者ニーズの変化をどのようにとらえていますか。

柳下 消費者の食生活が内食中心にシフトするなか、住宅事情などから魚を調理しづらい家庭は少なくありません。そうしたなか、手間をかけずに家庭ですぐ食べられる魚総菜の需要は拡大しています。

 角上魚類では、当日仕入れた新鮮な生魚をおいしく調理し、天ぷらやフライといった揚げ物から焼き物、煮物まで幅広く品揃えしています。

 コロナ禍では、家庭で簡単に食べられるご飯ものとして弁当も強化し、売上に大きく貢献しています。「海鮮天丼」や「銀ダラ西京焼き弁当」など、1日に5000個以上売れるようなヒット商品も生まれています。

──原価やエネルギー価格の高騰は角上魚類にどのような影響をもたらしていますか。

柳下 コストが

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聞き手

大宮 弓絵 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長

1986年生まれ。福井県芦原温泉出身。同志社女子大学卒業後、東海地方のケーブルテレビ局でキャスターとして勤務。その後、『ダイヤモンド・チェーンストア』の編集記者に転身。

最近の担当特集は、コンビニ、生協・食品EC、物流など。ウェビナーや業界イベントの司会、コーディネーターも務める。2022年より食品小売業界の優れたサステナビリティ施策を表彰する「サステナブル・リテイリング表彰」を立ち上げるなど、情報を通じて業界の活性化に貢献することをめざす。グロービス経営大学院 経営学修士

構成

松岡 由希子 / フリーランスライター

米国MBA 取得後、スタートアップの支援や経営戦略の立案などの実務経験を経て、2008年、ジャーナリストに転身。食を取り巻く技術革新や次世代ビジネスの動向をグローバルな視点で追う。

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