レシートは語る第6回 「オーケー」の強さの実態 購入データから見えた周到な戦略

山室 直経 (mitorizDMB本部 本部長)
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ソフトブレーン・フィールド(東京都/木名瀬博社長)は、全国に約80万人の協力モニターを擁し、日本初のレシートによる購買証明付き・購買理由データベース「マルチプルID-POS購買理由データPoint of Buy(ポイント・オブ・バイ:以下、POBデータ)」を有している。月間1100万枚のレシートを収集し、リアル消費者購買データベースとしては国内最大級の規模となる(提携サイト含める)。
このPOBデータと協力モニター(以下、POB会員)へのアンケート調査を活用すれば、消費者から見た小売りチェーンの実態を明らかにすることができる。本連載では毎回、業界で関心の高いテーマを設定して独自調査を実施し、その結果をレポートする。
連載第6回目は、「高品質・Everyday Low Price」を掲げ、成長を続ける食品スーパー(SM)大手のオーケー(神奈川県/二宮涼太郎社長)にクローズアップ。大手食品小売チェーンである「イオン」「ライフ」「ヤオコー」との比較対により、その購買動向を分析した。

オーケーの死角は
「総菜のおいしさ」にあり!?

 まずは消費者アンケートで、各チェーンのメーン利用者に「支持する理由」を尋ねた(全国エリア:2021年8月20日~23日実施、N=オーケー272人、イオン551人、ライフ224人、ヤオコー82人、計1129人)。

図1

 その結果、「オーケー」は他チェーンと比較して、「商品全般の価格が安い82.7% (平均29.2%)」が最も多く、価格に対する満足度が抜きん出ている(図表1)。モニターのコメントを見ると「圧倒的な安さで他店と比較しないで買物できる」などのコメントがあり、「他店より安い」というイメージが消費者に醸成されている。 

 また、「買いたいと思う商品がある(25.6%)」という項目では、「欲しい商品がいつもあり20年以上通っている」という声もあがっており、利用者のニーズ・利便性を意識した店づくりができていることがうかがえる。

 一方、オーケーは「生鮮品の品質がよい(9.9%)」や「総菜がおいしい(8.8%)」は、同じ食品スーパーの「ライフ」「ヤオコー」を下回っており、消費者から未だ高い支持を得られていない部分と言える。現在、積極出店中のオーケーに対して、競合チェーンが対抗できるポイントとも言えるかもしれない。

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記事執筆者

山室 直経 / mitoriz DMB本部 本部長

山室直経(やまむろ・なおつね)

神奈川大学経営工学科卒業。パソコンメーカーを経て、米リサーチ会社にてコンサルティング業務を学ぶ。その後、大手家電量販店子会社のパソコンメーカーで経営企画室に従事。計数管理とERP導入による業務改善などのプロジェクトを経験した後、2012年3月ソフトブレーン・フィールド入社、消費者購買データ事業の新規立ち上げを行う。

現在はデータを軸とした事業開発と当社の基幹システムのDX戦略を担う

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