復活を遂げられるか!? 米トイザらス新業態の勝算と深謀
b8taと組んで体験型の新業態を開発へ
それから半年が経過した7月18日、トゥルー・キッズは年末のクリスマス商戦までに、“新生トイザらス”の店舗を米国に出店することを発表した。デジタル製品の体験型ショールームを運営するベータ(b8ta)とジョイントベンチャーを設立し、新店舗の開発を目下進めている。まず手始めに、テキサス州ヒューストンとニュージャージー州パラマスに1店舗ずつを出店する予定だ。
この“新生トイザらス”は、売場面積は従来型の店舗よりも小さく、限られたスペースで人気玩具の中から同社が厳選した商品を陳列する。ベータが構築した「体験重視」の店づくりの手法を活用し、来店客は遊び場のような雰囲気の店内で、実際に玩具で遊べるようになっている。さらに、同じくベータの手法を用いて、店内での来店客の行動データを収集し、マーチャンダイジングやマーケティングに生かしていくものと思われる。
「店舗では来店客参加型のイベントなども毎日行う予定だ」とバリーCEOは顧客参加型の店舗になることを強調。一方、バリーCEOとともに新生「トイザらス」を当面率いることになったベータのフィリップ・ラウブ社長は「環境が変わろうとも、おもちゃに触れたい、遊びたいという子供たちの願望は変化しない。子供たちだけでなく大人にも、楽しさを創出し体験を提供したい」とコメントした。
ECだけでなく実店舗での体験価値向上を優先
トイザらスは、ウォルマート(Walmart)をはじめとするディスカウントストア・チェーン、そしてアマゾン(Amazon.com)に代表されるECに買物客を奪われた末に経営破綻した。トゥルー・キッズは、EC事業に“傾倒”し過ぎることなく、実店舗での体験価値の向上を最優先することで、「トイザらス」に足を運んでもらうという戦略をとったと言える。
トゥルー・キッズは今後も顧客体験の魅力を高めるため、積極的に新しいテクノロジーを導入する考えだ。バリーCEOは今後、「テクノロジー、店内での買物体験、顧客サービスに最も力を入れていく」と述べた。