ブランドとのタイアップにより大成功させた、大手小売店の「教育方法」とは!?
社員の定着率が高まる教育方法とは!?
今回の事例は、「部下を潰した」とは言えないかもしれない。だが、5年前の試みでは現場の混乱を招いたことがあることを踏まえ、双方を比べながら、私の考えを述べたい。
ここが良かった!①
日ごろの現場の状況把握が大切
今回のケースに限らないが、大きな会社で大規模な研修をスムーズに進めるためには、特に段取りが大切だ。小売店のように、外部の会社がタイアップする形でビジネスが成立している場合、なるべく早い段階で関係会社と話し合いをして、現状認識や問題点、課題などを共有したい。
今回は、各ブランドと密な話し合いをしたことが功を奏した。言い換えると、日ごろから各店舗などの現場でどのような販売員を育成するのか。そのために必要なスキルや経験、知識、資格などを正確に把握しておく必要がある。
そして、各店舗の店長からふだんの販売員の仕事への姿勢や意識、仕事力などをマメに情報収集したい。これらの蓄積があれば、どういったビジネスパートナーとどのような内容の研修にするべきかがある程度は見えてくるはずだ。今回は、そのモデルケースともいえる。
さらによかったのは、5年前に研修を試みたとき、混乱が生じたら早いうちに軌道修正をしたことではないだろうか。大きな組織では、なかなかできないものだ。この復元力もまた、見習うべきものだ。
こうすればよかった②
社員の定着率を高めるために教育を
基本的なことだが、社員の定着率を高める場合、教育は非常に大切だ。職場でのOJTももちろん重要だが、会議室などに一堂に集まり、講師などから学ぶ研修も可能ならば行いたい。教育を皆で受けることで、連帯感が強くなり、組織力もしだいに強化される。個々の社員の意識もスキルも上がり、仕事が楽しくなる。
特に今回のような販売職で、契約社員の場合は育成などにおいて何らかの施策をしないと、定着率はまず上がらないはずだ。人手不足が深刻で、今後もその状況が変わらない以上、退職者はできるだけ減らしたい。
神南文弥 (じんなん ぶんや)
1970年、神奈川県川崎市生まれ。都内の信用金庫で20年近く勤務。支店の副支店長や本部の課長などを歴任。会社員としての将来に見切りをつけ、退職後、都内の税理士事務所に職員として勤務。現在、税理士になるべく猛勉強中。信用金庫在籍中に知り得た様々な会社の人事・労務の問題点を整理し、書籍などにすることを希望している。
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