外国人と従業員からの万引きに苦しむ都内のディスカウトストアチェーン店

神南文弥(じんなん ぶんや)
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万引き体制は社員育成と表裏一体だ

 小売店は、万引きの問題に常にぶつかる。そのことへの対応は実は、社員の育成と表裏一体である。私は、次のような教訓を導いた。

こうすればよかった①
万引きへの対策を継続するべきだった

 創業当初から、同社では万引きを警戒していた。被害額に限らず、犯罪であるだから、その姿勢を持ち続けるのは正しい。ところが、一時期から、「このくらいの被害ならば…」と暗に受け入れるようになった。それが、万引きをする人やその予備軍、アルバイトを始めとした従業員に勘違いをさせた可能性がある。

 万引きを完全になくすのは難しいとしても、例えば、店長会議や各店舗での会議、話し合いの場で注意を喚起し続けないといけない。バックオフィスの壁に万引きについて警告書を数か月ごとに貼り返すなどして、目に入るようにしたい。それでもなかなかなくならないだろう。だが、万引きに対し、厳しい姿勢で臨むボーズこそが、従業員への教育になる。少なくとも、本部の意志は伝わるだろう。それが、日々の仕事に適度な厳しさを与えることになる。

こうすればよかった②
社内と社外とは必ず、リンクしていることを心得ておきたい

 「外国人が増えているから、仕方がない」と、現状を受け入れてはいけない。そこで安易な姿勢を示すと、今度は従業員に影響を与える。顧客への姿勢は従業員へのそれであり、その逆もある。従業員に無理をさせていると、それが顧客に不快な思いをさせる。社内と社外とは必ず、リンクしていることを心得ておきたい。社内の態勢を整備し、状況を改善すると、いずれはそれが顧客など社外に良好な影響を与えることになる。

 

神南文弥 (じんなん ぶんや) 
1970年、神奈川県川崎市生まれ。都内の信用金庫で20年近く勤務。支店の副支店長や本部の課長などを歴任。会社員としての将来に見切りをつけ、退職後、都内の税理士事務所に職員として勤務。現在、税理士になるべく猛勉強中。信用金庫在籍中に知り得た様々な会社の人事・労務の問題点を整理し、書籍などにすることを希望している。

当連載の過去記事はこちら

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