アパレルビジネスをコントロールするための4つの超重要指標とは!?
アパレルビジネスをコントロールするための4つのシンプルな重要指標
坪効率や面積効率などの指標も、高級什器で世界観を醸しだしている欧米ブランド企業の正規価格の高さと値引率の低さを見れば、必ずしも普遍的なKPIだと思わない。
①プロパー消化率、②オフ率、③商品企画原価率、④残品率は、売上・利益・過剰在庫をコントロールする絶対的4指標だ。シンプルであるがゆえに現在のアパレルビジネスをコントロールする指標であろ、これ以上の経営管理指標はない。奇をてらったことを言って、目新しさを出す前に構造を理解して、その適正性を確認すべきである。
日本の多くのアパレル企業の利益率は、等しく数パーセントと一ケタ台だ。一つの計算ミスが命取りになるのだ。だから、その重要指標であるプロパー消化率を否定する人は、自ら事業計画をつくったことがないコンサルか評論家だ。あるいは、売れて仕方がない超優良企業で、よくよく話をきいてみると、販売サイドのさじ加減以上に調達(在庫の確保)の方が収益に関わるような会社でしか働いた経験のない人達が多かった。そんな会社と低収益にあえぐ会社を同列で扱い、どんぶり勘定を推奨し、「在庫の確保こそ売上向上だ」とうそぶく人の言うことは聞かない方が良い。
私は、「アパレル業界」などといって、すべての企業を一括りにし、そもそのビジネスモデルやバリューチェーン、商品・ブランドの力点の入れどころが異なる企業を同列で扱う論調に異を唱える立場だ。
そして、供給過多と低収益にあえぐアパレル企業で、プロパー消化率が上がらないのは、本質的には値引の影響が大きいからで、値引きが大きいのは、商品投入供給過多という量の問題と、商品差別化ができていないという質の問題の二つが理由であり、このような因果関係を丁寧にたどり、会社の病巣を正しく見つけることが企業再建の第一歩となる。
プロフィール
河合 拓(事業再生コンサルタント/ターンアラウンドマネージャー)
ブランド再生、マーケティング戦略など実績多数。国内外のプライベートエクイティファンドに対しての投資アドバイザリ業務、事業評価(ビジネスデューディリジェンス)、事業提携交渉支援、M&A戦略、製品市場戦略など経験豊富。百貨店向けプライベートブランド開発では同社のPBを最高益につなげ、大手レストランチェーン、GMS再生などの実績も多数。東証一部上場企業の社外取締役(~2016年5月まで)