地球史上一の幸せ世代
地球が誕生してから46億年。アウストラロピテクス(猿人)が登場してから、400万年――。とても長い時間、人類の生活がある。
もし神様から、一般の庶民として好きな時代と地域を選んで生まれても良いと、言われたら、何と答えますか?
これしか知らないということも大いにあるのだけれども、私は迷わずに、「終戦直後の日本」と答えるだろう。昭和で言えば22年から24年、まさに「団塊の世代」だ。
奈良、平安、鎌倉、室町、戦国、江戸と歴史は続いてきたけれども、庶民の生活はひもじそうだし、不潔そうだし、移動の自由もなく、戦もあって、25歳くらいで死んでしまいそうだ。
明治維新以降は、どんどん状況はよくなっていくのだろうが、メシはまずそうだし、何より、日清、日露、第一次世界大戦と延々と続く戦争に駆り出され、25歳くらいで死んでしまいそうだ。
終戦後のベビーブーマーである「団塊の世代」の時代から、日本は、ようやく魅力的な時代と地域になってくる。
生まれた当初は貧しく、青春時代は受験戦争や就職戦争、また社会人になってからは出世競争を強いられてきたかもしれないが、命まで奪われるわけではないし、敗者復活も可能だ。
フランスブルボン朝最盛期の王で“太陽王”と呼ばれたルイ14世よりも良い食事をしているだろうし、風呂やシャワーなどの衛生環境も万全。洗濯機、冷蔵庫、エアコン、クルマ、テレビ、オーディオ、パソコン、DVDと全部所有、快適極まりない生活を享受している。
さらには、善し悪しはさておき、夢のようなバブル景気も40代の働き盛りで体験でき、退職金も、年金ももらうことができる。
かつて、これだけ恵まれた世代があっただろうか?
もちろん、地球の長い歴史の中で見れば、我々の世代も同じようなものであり、五十歩百歩の括りではある。
しかしその中でも、「団塊の世代」は、地球の歴史上、もっとも幸せな体験をした世代のひとつといえ、私もあと20年弱、早く生まれてくることができればよかった、と地団駄を踏んでいる。
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