ウォルマートも導入の電子棚札「VusionGroup」が日本の店舗DXの課題を解決する
実店舗向けの電子棚札およびリテールIoTソリューションにおける世界的リーダーであるVusionGroupは、2022年に日本法人を設立。実店舗のデジタル化を支援している。同社の世界的取り組み事例のほか、世界に比べ店舗のクラウド化の遅れが指摘される日本のリテール市場における課題や、今後の展望を紹介する。
電子棚札だけにとどまらない幅広いソリューションを提供するVusionGroup
フランスに本社を置くVusionGroupは、実店舗向け電子棚札のパイオニア的存在だ。同社の日本・アジアパシフィック地域エグゼクティブバイスプレジデントを務めるパスカル氏は、「現在、世界の電子棚札のマーケットでは5割以上のシェアを誇る」と話す。
とはいえ、パスカル氏は、「主力製品として電子棚札があるが、電子棚札だけでは課題の全てを解決できない。実店舗のデジタル化には、電子棚札だけにとどまらず、幅広いソリューションが重要になる。
日本では、最近は円安をはじめ、電波環境、データ活用のスキル、ソリューションコストの原資が少ないことなどの課題があるが、徐々に市場は伸長してきている。電子棚札の導入によるコストカットだけでなく、トータルでの投資収益率(ROI)を考えることが重要だ」と語った。
同社では、主力製品である電子棚札(SES imagotag)をはじめとし、クラウドツーエッジIoT管理プラットフォームである「VusionCloud」、マイクロカメラセンサーやAI&棚データなどの「Captana」など、6つのソリューションを提供し、リテール企業のDXを幅広く支援する。
同社のソリューションは、ヨーロッパ、アジア、アメリカ等、世界62か国、約350社、約3万5000店舗で導入されており、リテールIoTおよびデジタルソリューションのグローバルリーダーとなっている。
以前は、フランスなど欧州が主要マーケットだったが、近年は世界トップの小売業者であるウォルマートとの取引をはじめ、アメリカでのマーケットが大きく拡大しているという。日本国内では、家電量販店のノジマやイオン九州などで導入事例があり、日本での市場も拡大中だ。
店舗を丸ごと資産にするVusionGroupの取り組みとは
電子棚札は、価格情報などをデジタル化することで、従来の紙値札の運用に比べ、人員や時間の大幅な削減を実現する。棚に電子棚札を取り付けるだけで、手作業で紙値札を1枚1枚変更する必要がなくなり、クラウドから遠隔で一斉更新することも可能になる。
また、電子棚札の役割は、単に価格を表示し、人員や時間の削減に貢献するだけにとどまらない。消費者により良い商品の情報提供、POPの表示など、様々な機能を搭載することができる。
さらに、同社のソリューションでは、対面の棚に小型のカメラを設置することで、棚をリアルタイムに監視し、在庫・欠品の情報を即座に把握するなど、様々な側面から実店舗をトータルにデジタル化することができる。
同社によると、このような店舗のデジタル化により、営業利益率が2~3%増加する可能性があるという。
ウォルマートとの取り組み、これからの店舗DXの展望
同社では、ウォルマートとの取り組みにおいて、取り付け台となる棚のレールを利用して電気を供給し、超低消費電力のBluetooth規格に基づく新しい転送プロトコルに対応した、バッテリー不要の最新の電子棚札、「EdgeSense デジタルシェルフエッジ」の運用を始めている。
取り扱う商品数が膨大となるウォルマートのような大型店舗では、これらの商品すべてに電子棚札をつけると、棚札の電池交換に膨大な手間が必要となる。しかし、「EdgeSense デジタルシェルフエッジ」を活用することで、その時間を圧倒的に短縮できる。
また、バッテリー不要のディスプレイを採用することで、従来の電子棚札を採用した場合よりもCO2を48%削減することが可能。同社のソリューションにより、収益の向上だけでなく、サステナビリティ(持続可能性)の課題にも大きく貢献できる。
パスカル氏は、「日本はアジアの中でも非常に重要なマーケットと見ている。海外進出をしている大手企業も多く、世界的に見てもクオリティの高い企業も多い。
無線アクセスポイントのプロバイダーや、グローバルパートナーとの連携をさらに深めながら事業を拡大し、今後も日本の小売業界のデジタル化を支援していく」と語った。
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