急拡大するイケアのEC売上 「顧客体験をつなげる」ビジネスのオムニチャネル化とは?

湯浅大輝
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都心型店舗の出店とアプリ開発の狙い

IKEA原宿
IKEA原宿内観

 イケア・ジャパンは20年、初の都心型店舗であるIKEA原宿をオープンさせた。「ブランド認知度の向上」および「都心部における利便性」が出店のねらいだ。同店の総面積は約2500㎡と、大型店よりもかなり小さいため、商品点数も限られる。そこで、いちばん小さなイケア店舗というコンセプトのもと「IKEAアプリ」もIKEA原宿オープンに合わせて公開した。

 「IKEAアプリは、商品点数が少ない中で、いかに豊かな顧客体験を実現するか、という観点でスタートさせました。ECサイト『IKEA オンラインストア』との違いは、アプリの方がより直観的で、使いやすい点です。必要なコンテンツだけが表示され、お買い物完了までも非常にスムーズ。特に、若い世代に支持されています」(野崎氏)

 顧客チャネルをつなげるための仕掛けも用意している。IKEA原宿では試験的にAR技術を搭載した「IKEA原宿アプリ」を開発・導入。その面積から、例えば6色展開の椅子を全て並べることはできない。そのため、売られている青色の椅子の商品タグにはQRコードが記載されており、スマホで読み込むと、全てのカラーをARで好きな場所に配置して見ることができる。客は店舗にない商品でも、アプリで購入することが可能だ。

イケアアプリ
イケアアプリ使用イメージ

 リアル店舗とオンラインとの融合が、都市型小型店戦略のカギだと言えそうだ。78年間、郊外での大型店でビジネスを進めてきたイケアだが、世界的なヒトの都市部への移動というトレンドを受け、試行錯誤しながらビジネスモデルの変革に挑んでいる。野崎氏によると、最近は、店舗で商品を見て、オンラインで買い物をする顧客も増えているという。

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