年間40万時間の発注作業を一気に半減 ライフ全店で導入のAI自動発注システムの実力とは
AI活用で「1SKU単位」で需要予測を最適化
この打開策となったのが日本ユニシスの持つAI技術だった。日本ユニシスが既に開発していた需要予測エンジンは、専門知識が必要な日々の調整を人に変わってAIが行うというもので、この技術をベースにライフと共同で開発した自動発注サービスが「AI-Order Foresight」だ。
大まかなイメージとしては、あらかじめ気象データや過去の売上データをAIに学習させ、統計解析を実施。販売予測モデルを複数の方法で算出し、実際の売れ行きによってAIがモデルの再作成を自動で判断・実施するというものだ。どのモデルを選択するか、切り替えるかどうかは、各店舗・1SKUごとにAIが自動で判断し、最適化しているというから驚きだ。
目標は年間40万時間の発注作業を半減
従来、日配品の発注作業には、一店舗・1日あたり4時間、ライフ全店では年間40万時間という膨大な時間がかかっていたが、AI自動発注の導入によって一店舗・1日あたり2時間程度、全店では年間25万時間まで短縮できたという。ライフでは、年間20万時間までの削減を目標としているが、「目標まであと一息」(岸本氏)のところまで既に到達している。
さらに、AI自動発注が削減するコストは他にもある。これまでライフでは、従業員が独立して発注作業を行えるようになるまで約1年の教育期間を必要としていたが、これも不要になった。また、従業員個人の“肌感”が重要ということは、裏を返せば個人による“ムラ”が大きいということでもある。作業の質を均一化する、という面でもAI自動発注は役立っている。
導入後の成果について岸本氏は「欠品や廃棄が増えたということはなく、逆に『(欠品や廃棄が)何%減った』というような華々しい成果があるわけでもない」と話す。しかし、従来から精度の高い人力発注を行ってきたライフとしては、これは期待通りの結果といえる。