Retail AI永田洋幸CEOが”出展者目線”で分析する「NRF2024」の潮流とは?

永田 洋幸 (Retail AI 代表取締役社長)
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サステナブルな店舗運営のために……トライアルがNRFでアピールしたこと

トライアルグループの出展ブースの様子
トライアルグループの出展ブースの様子

 さて、われわれトライアルグループは今回のNRFで「店舗運営の自動化・省人化」に関するデバイスを主に発表しました。先に述べたように、世界的な潮流として実店舗への回帰があり、それは日本でも同じことが言えます。

 実店舗の価値を向上させようとしたとき、お客さまへより良い店舗体験を届けるために何をするかを考えることは非常に大事なテーマですが、「サステナブルな店舗運営」を志向することも同じくらい重要だと私は考えます。

 国内の労働人口減少という社会問題に直面しながら、この先数年、数十年とお客さまに便利な買物体験を安定的に提供するためには、”人が介在しなくても問題ない仕組み”をつくっていかなければなりません。ただしこれは、「雇用を減らす」ということではまったくありません。あらゆる業務を効率化することで削減できる作業は削減し、それで浮いた時間を新しいアイデアを考える時間に充ててもらうなど、生身の人間しかできない分野に取り組むリソースを増やしていくという方向性の話です。

 今回は東芝テック様、日本電気(NEC)様、フクシマガリレイ様とともに共同出展をしました。3社ともリテールDXの推進をともに行うパートナー企業です。これまでトライアルが開発してきたスマートショッピングカート「Skip Cart®️」や、店内デジタルサイネージ「In Store Signage™」をはじめ、東芝テック様の不正検知セルフレジやNEC様の顔認証技術を用いたセルフレジ、フクシマガリレイ様のIoTクーラーなどを一堂に集め展示しました。

 トライアルは国内208店舗にこれらの機器を計約1万9500台導入しており、さらには月間約400万人の方々にご利用いただいていることから、「世界で最も利用されているスマートストアソリューション※」というメッセージをもってNRFに臨みました。さまざまな技術の実証実験が進む中で、これほど日常生活にリテール×ITが浸透している例は他国を見ても実はそれほど多くないのです。※自社調べ(2023年12月末時点)

 今回の展示ブースは東芝テック様、NEC様と共同で店舗全体のDXとして顧客体験である決済と売場管理の両面で構成されるスマートストアの全体の提案でした。現地の来場者からは、包括的なソリューションの取り組みの評価の声もいただきました。また日本で実際に導入されている実績について具体的な質問も多く、多くの方に関心を持っていただいたと考えています。

 冒頭で述べたとおり、NRFは世界のリテールトレンドの最前線です。あらゆるところに未来の小売業をつくる上でのヒントが隠れているので、まだ訪れたことがないという方はぜひ来年、足を運んでみてください。

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記事執筆者

永田 洋幸 / Retail AI 代表取締役社長

1982年福岡生まれ。米コロラド州立大学を経て、2009年中国・北京にてリテール企業向けコンサルティング会社、2011年米シリコンバレーにてビッグデータ分析会社を起業。2015年にトライアルホールディングスのコーポレートベンチャーに従事し、シード投資や経営支援を実施。2017年より国立大学法人九州大学工学部非常勤講師。2018年に株式会社Retail AIを設立し、現職就任。2020年よりトライアルホールディングス役員を兼任。

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