ドローンで物流施設を管理へ!「もう一つの物流クライシス」に挑む大和ハウス工業
ドローン活用で点検業務の時間を3割削減
このような背景から生まれたのが、ドローンやAIを活用した無人点検管理のアイデアだ。大和ハウス工業が協業のパートナーに選んだのが、飲食店の配膳ロボットなどロボティクスやAI制御技術を持つNTTコミュニケーションズ(以下「NTT Com」)だ。
両社はこれまでも、AIやIoTを活用した物流施設のDXにおいて協業を進めてきた。「DXの新しい企画について情報交換する中で、タイミング的にドローン業界が盛り上がってきたこともあり、構想が膨らんでいった」と、NTT Com関西支社の村川幸則氏は振り返る。
大和ハウス工業とNTT Comの協業によって構築した、物流施設の無人点検管理のソリューションは次のような仕組みだ。
①米スカイディオ社が開発し、NTT Comが販売するドローン「Skydio 2+™」を遠隔操作(または自動操縦)しながら、物流施設内をドローンが巡回し、撮影を行う。
②撮影された画像データは、NTT Comのデータ駆動型プラットフォーム「Smart Data Platform for City(以下「SDPF for City」)」に自動的にアップロードされる。
③SDPF for Cityに格納された画像データは、AIのセンシング技術によって画像解析され、施設内の異常を自動で検知。異常が確認された場所と内容も自動で管理者へと通知される。
④さらに、点検管理の報告書も自動で作成・通知される。
このソリューションを導入することで、「施設の規模などにもよるが、物流施設の点検業務にかかる時間を約3割短縮でき、約25%の省人化が見込まれる」と菅野氏は言う。この効率化・省人化のメリットに加え、設備の損傷や異常をすばやく検知・発信することで、管理人による迅速な対応が実現され、防犯機能の向上も期待される。